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浄化槽の構成部品とその特性と品質、および耐用年数等について
古市 昌浩 株式会社ハウステック (月刊浄化槽 2012年 9月号)
1.はじめに
2.浄化槽構成部品と特性および浄化槽の品質
3.浄化槽の耐用年数
4.浄化槽の保証期間と補修部品の供給体制
5.まとめ
 
1.はじめに

  平成10年頃までは、浄化槽の寿命(耐用年数)の問合せがあった場合、汚水処理用減価償却資産の耐用年数表(別表第五)の「木造又は合成樹脂造のもの」に該当するものとして10年、あるいは、機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表(別表第一)の「給排水又は衛生設備及びガス設備」に該当するものとして15年を、使用実績は1966年を起点とした経過年数にて回答していたのが一般的であった。
  その後、平成13年1月に生活排水処理施設整備計画策定マニュアル1)が策定され、施設の使用実績として躯体は「30年〜」と掲載されたことから、浄化槽の寿命(耐用年数)は30年以上とされている。
  工場で生産される浄化槽の第一号は、1966年(昭和41年)に大臣認定により認可されており、2012年現在では47年目を迎えることから、使用実績は50年近くになっている。
  今般、浄化槽に用いられている浄化槽構成部品の材質を整理するとともに、重要な部品の特性、浄化槽の品質、さらに耐用年数と保証についてまとめたので、以下、報告する。
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2.浄化槽構成部品と特性および浄化槽の品質

 2.1 浄化槽の構成部品とその特性

  浄化槽の構成部品は、本体の外郭、仕切板、ろ材その他の槽内部品、ばっ気装置(ブロワを含む)、機器類(ポンプ他)、マンホール蓋・枠、配管接合部(流入管、流出管、送気管・排気管等)、制御盤であり、各構成部品は、使用条件に則した耐水性、耐食性および耐久性のあるものを使用している2)。浄化槽メーカーにより、若干の相違はあるが、浄化槽に用いられる主な材料と構成部品への用途を例として表-1に示す。

表-1 浄化槽本体に用いられる主な材料と構成部品への用途(例)


  浄化槽の強度上最も重要な部品は本体の外郭、仕切板(特に外郭部品)であり、表-1より、FRP製のものとDCPD製のものに大別されていることがわかる。
  FRPは複合材料であり、スプレーアップ成形(ガラスや樹脂等の材料を型に吹き付ける製法)やSMC成形(材料を金型内で加圧する方法)により生産され、剛性が高いという特徴を有していることから、システムバスやボート等の材料としても用いられている。一方、DCPDは単一の材料で、RIM成形(反応射出成形)により成形され、衝撃に強く、割れにくいことから、自動車のバンパーや建設・農業機械の一部ボディ等にも使用されている2)
  FRPとDCPDは、以上のように特性が異なるため、材料特性に応じた形状の検討や補強方法を施すなど設計手法も異なる。
  ろ材その他の槽内部品・ばっ気装置(空気配管部)には、使用状況に応じPVC、PP、PE、PS、ABS等の材料が採用され、マンホール蓋・枠ではPP、配管接合部はPVCが主に使用されている。
  ブロワは適用範囲により、使用されるブロワの種類が異なる。ブロワの種類と適用例を表-2に示す。
  出荷台数の多い家庭用の浄化槽ではダイアフラム式の電磁駆動が主流となっており、電磁部は銅線、ケーシングにはアルミニウム等が使用され、空気を圧縮する駆動部にはゴム製のダイアフラムが採用されている。

表-2 ブロワ種類と適用(例)


 2.2 浄化槽の品質

  浄化槽本体の耐久性に関連する品質の確認項目として「強さ」、「剛性」、「水密性」、「耐薬品性」があげられる。各品質の検証方法および判定基準は、JIS規格や社団法人浄化槽システム協会(以下、JSAという。)の規格2)により定められており、浄化槽の構造、設置条件によっては、疲労試験、クリープ試験、有限要素法により、強度の検証を行っている。表-3に、JSAの浄化槽・部品規格による品質確認項目の抜粋を示す。
  さらに、メーカーによっては独自の上乗せ基準を設けて強度検証を実施し、必要に応じて一般財団法人日本建築センターによるFRP評定3)(建築物や工作物の構法、材料、部品、設備等について、建築基準法令その他の技術基準等に照らして、その性能を評価)を取得している。

表-3 品質確認項目(抜粋)

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.浄化槽の耐用年数

 3.1 生活排水処理施設整備計画策定マニュアルによる浄化槽の耐用年数

  耐用年数とは、減価償却資産の各年度の費用配分算出の基礎となる年限である。なお、実績などにより、会計上の年数は変更することができるとされている。浄化槽に関する耐用年数に関連するものとして、平成13年1月および平成14年3月に公共事業の効率化の一環として「生活排水処理施設整備計画策定マニュアル」1)が環境省により策定された。マニュアルでは、生活排水処理施設の経済比較のための基本諸元として浄化槽、公共下水道、農業集落排水施設の使用実績が記載されている。
  3事業の施設の使用実績を表-4に示す。

表-4 施設の使用実績


  表-4より、浄化槽の躯体は30年以上、機器設備類については7〜15年程度とされ、他の施設より短い期間となっている。これは、工場生産浄化槽の生産開始から約30年を経過した時点で策定されたことによるものであり、2012年現在、第一号の浄化槽は47年目を迎えている。

 3.2 実大試験による浄化槽の安全性検証

  平成11年度に、当時の浄化槽工業会(現JSA)が約30年設置されていたFRP製浄化槽を対象に強度評価4)を、平成15年度では同じくJSAが、約8年設置されたDCPD製浄化槽および下水道の管渠に相当する設置後13年のDCPD製真空下水道用汚水枡の強度評価、および材料強度試験結果から30年後の物性値を統計的に算出し、有限要素法による強度解析にて安全性を評価5)している。
  評価結果は、FRP製・DCPD製浄化槽、DCPD製真空下水道用汚水枡とも、30年以上の耐用年数を有することを学術的に示している。
  DCPD製真空下水道用汚水枡は、真空弁ユニット等を内蔵し、外形寸法はφ1,000mm、全高1,580mm、外郭はDCPD製の上槽と下槽を接合したもので、規模および構造は浄化槽とほぼ同等であった。

 3.3 耐用年数に関する考察

@ DCPD製真空下水道用汚水枡は、公共下水道の管渠に分類されることから、表-4より、耐用年数50〜120年に該当するものと考えられる。したがって、浄化槽の使用実績(47年目)も考慮すると、浄化槽の耐用年数は50年以上としても、問題はないものと推測される。
A 浄化槽、公共下水道、農業集落排水施設の各施設は、適正な消耗品の定期交換や補充、損傷部の修繕等の維持管理を実施することにより、前記表-4の使用実績の期間を確保している。したがって、施設の使用実績はさらに延長されていくものと考えられる。
そのためには、施設の管理者は適正な維持管理費および資産維持費(将来に渡り健全な運営を維持するために必要な費用)を確保することが重要である。
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4.浄化槽の保証期間と補修部品の供給体制

 4.1 保証対象と保証期間

  一般的に保証期間は、顧客が購入した製品の機能について、メーカーが条件付で保証している期間であり、耐用年数および使用実績とは異なる。
  浄化槽の保証対象と保証期間は各メーカーの設定によるが、JSAでは通常の設置・使用条件において、表-5を標準としている。

表-5 浄化槽の標準的な保証期間2)


  表-5の「槽本体」とは本体の外郭・仕切板を、「駆動部」はブロワ、ポンプ、制御盤等の装置設備類を示す。「その他の部品」は、槽本体、駆動部以外で保証期間を規定した部品をいい、マンホール蓋、配管部材、かさ上げ材、ろ過膜装置、ろ材などが該当する。
  保証は取扱説明書(使用説明書)、施工要領書、維持管理要領書、取扱ラベル等の注意書に従って通常の設置・使用条件で保証期間内に故障した場合に適用される。ただし、保証期間内でも次の場合は除外される。
   @ 使用上の誤りによる故障または損傷
   A 適切な維持管理をしていないとき
   B 適正な工事がなされていないとき
   C 改造や不適切な修理による故障または損傷
   D 駆動部の取付場所の移動等による故障または損傷
   E 重量車輌の通行・振動による故障または損傷
   F 火災、地震、水害、落雷、雪害その他の天災地変による故障または損傷 
  浄化槽メーカーによって、保証対象、保証期間が異なる場合があるので、取扱説明書や保証書を確認しておくことが必要である。
  なお、消耗部品は、定期的に交換・補充する部品であり、保証の対象外となっている。具体的には機器類のベルト、ホース・パッキン類、油脂類、ダイアフラム、弁、ろ過膜材、消毒剤および電池などが該当する。

 4.2 補修部品の供給体制

  補修部品は、該当する浄化槽メーカーの営業所、ホームページや専用ダイヤルを窓口として、購入することが可能である。なお、補修部品の浄化槽メーカーからの提供は、該当する浄化槽の生産打ち切り後7年程度(ただし、代替品で対応可能な場合は除く。)2)とされているが、特殊な部品を除きホームセンターなどより、調達することも可能である。
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5.まとめ

  浄化槽は建築基準法、浄化槽法および関連法規により、浄化槽のライフサイクル全般において各規定(生産、設置工事、使用、保守点検、清掃、法定検査等)が設定されており、さらに、浄化槽の設置、保守点検においては、専門の国家資格を有する技術者がその業務を担っていることから、浄化槽の使用実績(耐用年数)が延長されやすい仕組みとなっている。したがって、浄化槽管理者への資産維持費などの啓発と適切なアドバイスを継続して行い、適正な施工と維持管理を実施することにより、浄化槽の躯体および機器設備の使用実績を延長していくことが、可能であると考えられる。
  最後に、東日本大震災の後、環境省が実施した東日本大震災浄化槽被害状況緊急調査等6)7)8)9)では「全損と判断される可能性ありと判断した施設は3.8%」と公表されていることから、浄化槽の災害に対する耐久性の高さも評価されている。
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参考文献
1) 生活排水処理施設整備計画策定マニュアル,環境省(平成14年)
2) 浄化槽・部品規格<改訂版>,社団法人浄化槽システム協会(平成18年)
3) 一般財団法人日本建築センターホームページ
4) 平成11年度汚水処理施設の効率的整備促進に関する調査報告書,財団法人日本環境整備教育センター(平成12年)
5) DCPD製浄化槽耐久性評価報告書,社団法人浄化槽システム協会(平成16年)
6) 平成23年度東日本大震災浄化槽被害状況緊急調査報告書(岩手県)
7) 平成23年度東日本大震災浄化槽被害状況緊急調査(宮城県)業務報告書
8) 平成23年度東日本大震災浄化槽被害状況緊急調査(福島県)報告書
9) 大規模災害緊急対応マニュアル,社団法人全国浄化槽団体連合会 災害対策特別委員会(平成24年)
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