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| フジクリーンPV型の多系列化対応の概要と維持管理のポイント |
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| 清水 洋一郎 |
(一社)浄化槽システム協会講師団 |
(月刊浄化槽 2026年3月号) |
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1.はじめに
「フジクリーンPV型」は、従来機種と比較してコンパクトさとブロワ1台によるシンプルな構造を特長としており、施工性および維持管理性の向上により高い評価をいただいています。今回、より多くの場面でご活用いただくことを目的として、多系列化による対応範囲の拡大を実現しました。本稿では、この多系列化の特徴についてご紹介します。
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| 図1 製品イメージ図 |
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2.概要
今回の対応範囲拡大では、従来のPV型を多系列並列配置し、その前段に配置した原水ポンプ槽内の原水分配装置によって均等に流入させる方式を採用しています。処理フローを図2に示します。また、前段に配置する原水ポンプ槽の概要を図3に示します。
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| 図2 処理フロー(2系列の場合) |
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| 図3 原水ポンプ槽の概要(3系列の場合) |
原水ポンプ槽には、後段の各系列ごとに1台ずつ原水ポンプを配置しています。流入してきた原水は、これらの原水ポンプを介して各系列に移送されます。途中に設けた原水分配装置には、系列ごとに目盛板の付いた三角堰を設置して移送水量を確認できるようにするとともに、原水ポンプを個別にインバータ制御することで適正な移送水量に調整可能としています。 |
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3.維持管理のポイント
1)移送水量の確認
原水ポンプ槽からの移送水量は、各系列に設置している原水分配装置内の三角堰を用いて確認することができます。ゲート板Bの三角堰を下側にしてセットし、三角堰の目盛板にて水量を確認します。(図4)
なお、水量確認時以外には、原水分配装置内への夾雑物の蓄積を防ぎ、長期にわたり安定した移送水量を維持するために、ゲート板Bの三角堰を上側にしてセットします。(図5)
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| 図4 原水分配装置内の堰の設定(移送水量確認時) |
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| 図5 原水分配装置内の堰の設定(通常時) |
2)移送水量の調整
原水ポンプ槽からの移送水量は、操作盤内に設置しているインバータの周波数を系列ごとに設定することで調整します。インバータの外観例を図6に示します。
周波数の設定は、インバータのダイヤルを回して目標値に合わせ、「SET」ボタンを押すことで完了します。ポンプ停止時は「0.00」、 ポンプ稼働時は設定した周波数が表示されます。(詳細は、付属のインバータの取扱説明書をご確認ください。)
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| 図6 インバータ 外観例 |
なお、設定値を小さくし過ぎると、設定が「0.00」でなくても移送できなくなる場合があります。このため、設定値を変更した際には、最も揚程が高くなる原水ポンプ槽内水位がLWLの状態で、規定量が確実に揚水することを必ず確認します。
3)ポンプの絶縁抵抗の測定
インバータで制御しているポンプの絶縁抵抗を測定する際は、インバータの破損を防ぐために、操作盤内の各インバータ回路に設置した断路端子台で必ず回路を切り離してから測定を行います。
4)原水ポンプ故障時の対応
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| 図7 原水ポンプ故障時対応フロー |
原水ポンプが故障した場合でも、他のポンプが1台でも稼働するようであれば、応急措置が可能です。具体的には、原水分配装置内のゲート板Aを一時的に取り外すことで、隣接系列へ原水を移送できます(図8)。
ゲート板Aを取り外した際には、複数系列へ移送するポンプのインバータ設定値を変更し、分配系列数に応じて揚水量を調整します。なお、故障したポンプ復旧後にはインバータの設定を元の値に戻します。
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図8 原水ポンプ故障時における原水分配装置での対応
(原水ポンプ故障且つ流量確認時) |
5)処理水の採水
多系列並列配置では、各系列に消毒槽を配置しているため、消毒剤の補充および処理水の採水は系列ごとに実施します。
水質検査は、基本的には1つの設置現場につき1つのサンプルで評価されます。このため、例えば、水質検査用のサンプルは、各系列の流量を考慮した上で、消毒前処理水の混合サンプルを作成します。また、処理水の残留塩素の測定は、浄化槽後段の合流マスで採水して行います。
6)清掃について
浄化槽の規模が大きくなると、地域によっては清掃時に発生する引抜汚泥を一括で処理施設へ搬入することが困難となる場合が考えられます。このため、設置地域の実情に合わせ、系列ごとに清掃時期をずらす等の対応を検討します。なお、清掃頻度が系列ごとに6ヶ月に1回以上であれば、系列ごとに清掃時期をずらしても運用上問題ありません。
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| 図9 清掃パターン例(3系列の場合) |
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4.最後に
本稿では、「フジクリーンPV型」で採用しました多系列化対応の概要と、運用時に留意すべき維持管理上のポイントについて整理しました。多系列並列配置した場合には特有の管理事項が存在しますが、これらを適切に実施することで、安定した処理性能を確保しつつ、維持管理の効率化を図ることができます。
本稿が、多系列化システムの理解と現場における適切な管理の一助となりましたら幸いです。 |
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| (フジクリーン(株) 第二開発部) |
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