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浄化槽制御盤に使用される電気機器・部品の機能や役割について
藤井 幸一 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2024年3月号)
1.はじめに
2.主な制御盤内機器・部品の種類と機能
3.おわりに
1.はじめに

 浄化槽を設置し運転するときには、ブロワやポンプを運転するために制御盤を設ける場合があります。その制御盤の内部に使用される各電気機器・部品について普段はおおよその機能や役割をわかっているつもりでいても電気関係の専門でない場合、ポンプが停止している原因や警報が出ている原因を探すときは制御盤を開けてどの部品のどこを確認すればいいのか、今ひとつ確信が持てないことはよくあることです。今回、あらためて制御盤で使用される電気機器・部品について代表的なものからその機能や役割について簡単にまとめた内容をご紹介します。
 
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2.主な制御盤内機器・部品の種類と機能

【MCCB/ELCB】(写真1)
 一般的に「ブレーカー」と呼ばれる配線用遮断器のことをMCCB(Molded Case Circuit Breaker)といいます。二次側の絶縁劣化やモーター焼損による短絡あるいは過負荷による過大な電流が流れたときに熱が発生し、MCCB内部のバイメタルが変形することで、トリップ(遮断)し回路を保護します。  また、浄化槽内のポンプのような湿度や水分の付着が想定される環境では漏電遮断器ELCB(Earth Leakage Circuit Breaker)が使用されます。ELCBはMCCBの機能に加えて漏電(地絡)を検出し回路を遮断することが出来るようになっています。双方とも自動的に遮断することにより、配線の溶断や熱による火災を防ぐ役割があります。

写真1 MCCB(左)とELCB(右)


 自動的に遮断すると、ブレーカーの操作ハンドルがONとOFFの中間で止まります。過電流や漏電の原因になっている機器をOFFにするか取り外した後に再度ブレーカーを入れますが、その際は一度OFFに操作ハンドルを戻しONに入れます。

【リレー】(写真2)
 リレーは外部からの電気信号を受け内部にある開閉素子(接点など)を動作させ、電気回路のオン/オフや切り替えをする部品です。主な機能と役割は電気信号を受け取って回路をオン/オフすることで次の機器に信号を中継する働きをする部品です。 電気制御の代表的な部品として利用され非常に幅広く用途を問わず様々な機器に用いられています。

写真2 リレー


【サーマルリレー】
 サーマルリレーは負荷電流の異常を検知し自動的に接点が開くリレーのことです。 サーマルリレーの内部はヒーター、バイメタル、a接点、b接点等で構成されています。 サーマルリレーは、設定した定格電流以上に電流が流れ、それによって生じた熱がバイメタルに蓄積されたときに反応します。負荷電流の異常時に警告を出すことでモーターの焼損を防ぐ役割があります。 ただし、サーマルリレー自体は「検出」するだけで、ブレーカーのように「遮断」する機能はありません。

【電磁開閉器】(写真3)
 電磁開閉器はいわゆる「マグネットスイッチ」と呼ばれ、電磁接触器(マグネットコンタクター)と前述のサーマルリレーを組み合わせた機器です。主な機能は、電気回路のオン/オフを制御することで、電磁コイルと接点から構成されています。動作原理は、電磁コイルに電流を流すことで発生した磁界で接点を引き寄せます。電磁コイルに電流が流れている間は接点が閉じ(オン)、電流が停止すると接点が開く(オフ)仕組みです。電磁開閉器は、サーマルリレーの機能により過電流や短絡などの過負荷による異常を検知して、制御盤の回路やモーターを使用する動力機器を保護する役割があります。

写真3 電磁開閉器


【進相コンデンサ】
 進相コンデンサは、電気を一時的に蓄えることができるコンデンサの一種で、特に交流電源を使用する電気回路において有効な役割を果たします。交流電源では、電圧と電流が波形状で変化し、通常はこの二つの波が同時に上下します。電気機器によっては、電流の波が電圧の波よりも遅れてしまうことがあり、この「位相の遅れ」による電力の無駄(無効電力)が発生しエネルギー効率が低下します。進相コンデンサは、この位相の遅れの原因となる無効電力を少なくする補正をすることで、電流の波を電圧の波に近づけて電気回路の効率を向上させ電力コストを低減させる役割があります。

【PLC】(写真4)
 浄化槽のポンプやブロワの自動運転や、センサーや警報等の入力信号を数値化し制御盤で表示させたりする場合には制御シーケンスが必要です。制御シーケンスには、リレーを主に使用し機械的接点と電線で構成された「リレー制御方式」と、PLC(Programmable Logic Controller)を使いパソコンとプログラムにより構成された「PLC制御方式」があります。PLC制御の場合、専用ソフトウェアを用いてプログラミングしPLCへ書き込むことで機器を制御動作することができます。
 リレー制御とPLC制御それぞれ長所(◯)と短所(●)を簡単に列挙します。
 (リレー回路)
 ◯パソコンや専用ソフトウェアの購入不要。
 ◯配線の知識があればトラブル対応が容易。
 ◯テスター等計器類で故障箇所を特定できる。
 ●制御変更する際、配線変更に時間がかかる。
 ●複雑な制御ではリレーと配線の数が多い。
 ●接点の摩耗による機械的寿命がある。
 (PLC回路)
 ◯制御変更する際、配線変更がほぼ不要。
 ◯センサーや警報等、入出力情報を監視できる。
 ◯部品点数が減り筐体を小さくできる。
 ◯複雑な制御が可能。
 ●PLCメーカーごとにソフトウェアが必要。
 ●サージ等で故障するとPLCの交換が必要。
 ●トラブル対応できる人が限定される。

写真4 PLC


 PLCは本体価格が高い、ソフトウェアやパソコンを扱う知識が必要、昨今の半導体不足による調達難等の側面もありますが、特に制御盤の小型化によって省スペース化できる点等、多くのメリットを有しており制御には欠かせない機器です。ただ、PLCは故障した場合やバッテリーの交換が必要な場合に制御不能になってしまうこともある為、信頼性の面で緊急時に機器を停止するための非常用回路の部分は有接点リレー回路を使用しPLCとリレー併用で制御を組むケースが実際には多くあります。
 制御盤のサイズをより小さくする省スペース化や配線を低減し製作の容易化を目的として、各部品の機能を単一部品で持ち合わせる製品も増えており、ブレーカーの遮断機能にサーマルリレーの保護機能を有するマニュアルモータスタータという製品もあります。
 
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3.おわりに

 今回、浄化槽の制御盤でよく使用される代表的な部品を挙げましたが、浄化槽の性能を発揮させるために制御盤の中の機器・部品に対する知識を深め、機器を適正に運転させることで運転トラブルを未然に防止し、お客様に安心をお届けすることに繋がるものと考えます。


(参考文献・インターネット)
・一般社団法人日本配電制御システム工業会「制御盤製作の省コスト化の調査研究」
・「電気エンジニアのツボ」ホームページ
((株)クボタ 滋賀工場)
 
 
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