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保守点検システムの紹介
敷島 哲也 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2023年1月号)
1. はじめに
2. 維持管理業務について
3. 業務管理システム
4. 保守点検システム
5. 計量事業部門との連携
6. まとめ
1.各省庁や自治体の方向性

 浄化槽を設置し、その性能を十分に発揮させるためには入念な計画、設計、施工は勿論ですが、運転及び保守点検・維持管理が適切に行われることが重要です。弊社は昭和47年に維持管理部門を設立して中部地区のメンテナンス事業の拡充を図り、今日に至るまでに数多くの自社設計施工の浄化槽や水処理プラントの維持管理業務を行ってまいりました。その間に培い蓄積した維持管理の技術やノウハウは、設計施工技術と並んで弊社の誇りとするところであります。
 保守点検業務上の施設のデータは早くから電子データでの管理を進めており、データベースに各々の現場の処理方式や放流水質、水質データ、薬剤や機器取替の記録等を集積し、施設の傾向を把握したり機器改修計画立案に活用したりしてきました。最近は情報処理の使用環境が著しく発展したため、それらを積極的に導入し、タブレット端末等を用いてよりきめ細やかで迅速な対応が出来るよう保守点検システムを構築しました。
 今回は弊社の保守点検システムの概要を紹介いたします。
 
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2.維持管理業務について

 弊社は東海地方を中心に主に事務所や工場、宿泊施設、医療施設、店舗、学校などの事業所に中規模〜大規模の浄化槽を営業展開し、設計・施工から維持管理、水質分析まで一貫して総合水処理プラントメーカーとして対応しております。事業所の生活排水処理は、その条件が多岐にわたり、現場条件・状況に合った維持管理が求められます。
 事業所の浄化槽が予期通りの運転成果をあげる条件は入念な計画、設計、施工によることは勿論ですが、同時に運転並びに維持管理が適切であることが重要です。
 浄化槽の維持管理は一般的に
 (1)動力機器、装置等が円滑に運転されるための保守管理
 (2)生物処理機能が完全に発揮されるための処理機能管理
 (3)放流水が水質基準に適合するための水質管理
 (4)施設の運転記録
 (5)その他経理事務
 で構成されます。事業所に設置された浄化槽では更に施設情報の管理(顧客担当者、連絡先、曜日や時間の指定、平均作業時間、客先立会の有無、事前連絡の有無、日報の様式、日報の提出部数、日報以外の提出書類)や点検時情報(作業上の留意点、安全上の留意点、日報の送付先や検印先ほか)などの情報管理が必要になってきます。
 弊社では、かつてはこれら多岐にわたる維持管理業務を紙ベースの報告書と旧式の業務システムで運用していましたが、蓄積したデータの活用が困難であったり、契約不履行に繋がる業務の実施漏れが起きたり、十分な引継ぎが出来ないなどの課題を多く抱えておりました。そこで昨今の情報処理技術を導入して業務システムの改善を重ねて合理化を図り、円滑で迅速なサービス提供を実現しました。
 システム改善の要点は次の通りです。
旧式の業務システムから、外部との情報交信可能な最新の業務システムへの転換。
タブレット端末と業務システムでデータのやりとりを可能とし、点検日報をその場で作成して客先へ提出し、同時に業務システムのデータベースにも記録する。
同時に環境計量部門ともリンクし、水質測定業務と紐づけしている。
業務システムを用いて改修計画書や提案書、見積を作成する。
 
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3.業務管理システム

 維持管理業務の基幹となる業務管理システム(以下PSK)では顧客施設の詳細な情報を電子化し施設台帳として記録・管理します。施設の基本的な情報としては以下のような内容が登録されています。

台帳No. ナンバーで管理。問合せ検索対象。施設によっては主契約の台帳を登録し、親台帳と子台帳を紐づけ
施設名 施設名称でフリガナも登録し検索しやすく
施設住所・連絡先 郵便番号、住所、電話、FAXなど
担当部署 客先の所属する部署や客先名
契約先・見積先 マスタ登録した客先で住所や支払い方法等がリンクし、書類等にも反映させる
処理方式等 処理方式、人槽、水質基準、排水区分、建築用途などを登録
期間、契約状況 施工、試運転、原契約、現在の契約状況などを登録
社内担当 メンテ営業窓口、営業担当、メンテ担当、施工営業、施工担当等を登録
清掃業者 清掃業者の社名、連絡先、汲み取り量などを登録

 担当者の変更などで維持管理業務の引継ぎをする場合に円滑かつ漏れなく引継ぎが行われるように、引継台帳には以下の内容が登録されています。

施設情報 契約区分、顧客担当者、連絡先、曜日や時間の指定、平均作業時間、客先立会の有無、外部立ち入り検査の有無、鍵の有無、事前連絡の有無、入門及び施設の位置関係、日報、日報必要部数、日報以外の提出書類、など
点検時 客先への挨拶、特殊点検道具等、点検以外の作業項目、日報の送付先や検印先、安全上の留意点ほか
履行契約関係 採水業務、清掃業務、法定検査、契約内修理・納品・作業、書類提出の時期ほか
営業関係 予算見積、決算金額、汚泥引抜見積提出ほか
その他情報 施設の特徴、客先担当者情報、トラブル・クレーム・不具合箇所、その他

 機器明細では次のことを登録しています。機器明細を登録すると紐づけされた施設台帳、修理台帳に反映されます。

設置日 機器が設置された日付
修理日 機器が修理された日付(修理完了報告書作成で自動反映)
呼称・機器名 機器名称を登録
メーカー・仕入先 設置機器のメーカー、仕入先を登録
型式・能力等 機器型式、能力(出力)、口径、台数、その他必要な仕様の登録

 その他、保守点検契約の管理画面では契約内容の期間や費用詳細、水質分析項目、通常点検の実施月などを登録し、そこからそのまま契約書を作成することが出来ます。
 PSKでは施設台帳のデータベースを元に修理台帳の管理、維持管理及び修理の見積書の作成、修理予算書作成、注文書作成、修理受注報告書、受注実績表などが作成できるために、業務効率が飛躍的に上昇しました。機器類の仕様や修理履歴も管理されているため、効率的な営業展開ができるようになりました。
 その他にも作業日報の作成と記録保管、水質検査結果入力と結果一覧表の出力等が出来ます。
 
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4.保守点検システム

 従来の運用では、
 @本社の業務管理システム(PSK)から契約情報をメンテナンス管理システムに登録
 A携帯端末で実績入力してサーバに登録(点検漏れの防止)
 B点検報告書を手書きし、お客様へ提出
 C複写の報告書をファイルに綴じる
 という流れで業務をしていました。
 その後業務の大幅な効率化とサービス性の向上を図ることを目的として、新たに保守点検システムを導入・構築しました。導入後の運用は、
 @本社の業務管理システム(PSK)から契約情報と施設台帳を保守点検システムに紐づけ
 A点検報告書、分析業務依頼書をタブレット上で入力しサーバに登録
 B点検報告書、分析業務依頼書をモバイルプリンタで印刷し、現場でお客様へ提出
 となりました。流れは下記の通りです。


 保守点検システムのフローは次の通りです。
 @点検担当者は社外で本日の作業予定を確認します。
 Aお客様の施設へ移動し、保守点検作業をします。
 B点検報告書をタブレット上で入力し、モバイルプリンタで印刷してお客様に渡します。
 C点検報告書、分析業務依頼書を出先から本社のサーバに送信します。
 D本社で点検実績、点検、採水漏れを確認し分析業務依頼書と検体を提出します。


 保守点検システムのサーバ側とタブレット側の機能は下表のようになっております。
タブレット側機能 点検報告書、分析業務依頼書入力(計量事業部門へ依頼)
点検報告書、分析業務依頼書印刷
点検報告書、分析業務依頼書を保守点検システムに送信
保守点検システム
サーバ側機能
点検、採水実績管理(月間、年間)
点検報告書管理(※点検済の報告書の詳細)
マスタ管理(担当者マスタ側)

 メンテ担当者は現地保守点検作業を終えたらタブレットで保守点検システムにログインして保守点検システムに接続し、予定一覧からファイルを開いて報告書を作成し、その場でモバイルプリンタを用いて報告書を印刷して提出します。この時、履歴一覧から過去の報告書を参照することもできます。


 メンテ担当者は維持管理業務から帰社後に、パソコンから保守点検システムにログインして点検の実績管理(月間、年間)や採水の実績管理(月間、年間)、点検報告書の一覧で予定の管理、報告書の詳細を確認します。


 報告書は施設の仕様や客先仕様に応じて点検報告書を編集して対応することが出来ます。Excel上で報告書のレイアウトを作成し、入力項目に対して動作の定義を入力します。


 ここまでの保守点検システムの運用の流れをまとめると次の通りとなります。
 @本社又は部店にて点検報告書のフォーマットを作成
 A点検報告書フォーマットを保守点検システムのサーバに登録
 B点検施設の現場で作業予定をタブレット端末に取り込み
 Cタブレット端末上で点検報告書を入力
 Dタブレット端末から保守点検システムのサーバへ点検報告書を送信
 E本社又は部店にて保守点検システムから点検・採水実績を確認

 
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5.計量事業部門との連携

 弊社が維持管理・保守点検している施設の水質分析は、そのほとんどが名古屋市千種区にある弊社環境計量部門の水処理技術研究所で行っております。水処理技術研究所では環境計量業務の効率化を図って採水報告システムを導入しており、これを受けて維持管理部門の保守点検システムとの連携を行いました。分析の業務依頼書記入は過去には手書きで行っていましたが、これを電子化して採水依頼作業と水質分析作業の効率化、及び記入の手間低減やミス、採水忘れ防止対策としています。
 メンテ担当者は採水日にタブレット端末から分析業務依頼書を書き込んで送信することで水処理技術研究所に水の分析依頼を出します。採水報告システムでは採水瓶に貼り付けたQRコードを用いて、水質の検体と業務依頼書(水質分析の依頼書)と保守点検報告書を紐づけし、その後の水質結果報告と保守点検報告書を関連付けて運用します。
 
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6.まとめ

 かつては紙ベースで伝票処理をしていた業務が80年代後半からのオフコン導入で電子管理されるようになり、2000年代には携帯電話の普及からリアルタイムに現場への入出場を管理するようになり、現在ではタブレット端末と業務管理システム、保守点検システムの導入により全ての業務が社内ネットワークの中で紐づけされ合理化できるようになりました。特にタブレット端末導入の恩恵は大きく、かつては現場で手書きで書き込み客先へ提出していた点検報告書も、タブレット端末を用いて作成してその場で印刷して提出出来るようになり、今まで帰社してから紙ファイルに綴るだけだった報告書も現場からの送信でサーバへのデータ入力を同時に行えるようになりました。電子データとして蓄積された点検報告書は機器の修繕・交換、薬剤の補充の管理だけでなく、運転状況が芳しくない施設では時系列でデータを解析して原因を探る一助にもなります。これらの改善により、適切なタイミングでの機器の交換や薬剤補充、保守に関する顧客への提案が出せるようになりました。紙面の都合で今回は割愛しましたが、いくつかの現場では顧客の要望により浄化槽や汚水処理場に多数のセンサーを取り付け、リアルタイムに状況をモニターできるようにした現場もあります。中にはばっ気風量や弁の開き具合を操作できる施設もあります。
 維持管理保守点検の業界も顧客要望事項の増加、求められる品質の高度化、競争の激化、担い手不足などの問題により、より限られた時間でこれまで以上のサービスを提供することが求められています。今後も積極的に最新技術を導入し、環境保全に寄与する製品・サービスを高い品質でお客様に提供し、地球環境にやさしい社会づくりに「環境保全技術」を通じて貢献いたします。
(藤吉工業(株) 本社事業本部設計部)
 
 
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