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流量調整担体流動生物ろ過方式FCI-L型の紹介
明壁 典夫 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2021年9月号)
1. はじめに
2. 概要
3. 特長
4. まとめ
1.はじめに

 性能評価制度が始まり浄化槽製造各社からコンパクト商品が多く発売されています。浄化槽をコンパクト化するためには、処理に必要な容量を見極めることが必要となります。しかし、51人以上の大型浄化槽では設置条件が多岐に渡るため、流入条件も設置条件により大きく異なります。したがって、大型浄化槽にはコンパクト化だけでなく流入負荷の変動に対する柔軟な処理性能が求められます。さらに、汚水量が増えると汚泥が多量に発生するため、綿密な汚泥搬出計画が必要です。
 そこで、既認定品のFCI型を2系列にすることにより、上記の問題を運用上で解消できるようにしました。
 本稿は、既認定の500人以下FCI型の紹介も交えて流量調整担体流動生物ろ過方式FCI-L型浄化槽について紹介します。
 
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2.概要

 501人以上は、500人以下のFCI型を2系列にしたFCI-L型で対応できるようにしました。

1)処理方式及び性能

表1 FCI-L型の処理方式及び性能
処理方式 流量調整担体流動生物ろ過方式
対象人員 251〜4000人○
汚水量 25.05〜200m3/日
処理水質 BOD:15mg/L以下
COD:30mg/L以下
SS :15mg/L以下
n-Hex:15mg/L以下
(日本建築センター性能評価値)

2)構造及び機能説明
 図1に処理工程を示します。
 汚水は、最初に「ばっ気沈砂槽・荒目スクリーン」に流入し大きな夾雑物を分離除去します。荒目スクリーンは常時ばっ気されており目詰まりし難い構造になっており、分離された夾雑物は槽底部に貯留されます。
 大きな夾雑物が除去された汚水は「流量調整槽」へ移流します。流量調整槽では一時的に汚水を貯留し、水中ポンプと計量調整装置により次槽へ定量移送を行います。定量移送先の「多孔スクリーン槽」「担体流動槽」「生物ろ過槽」「消毒槽」「汚泥濃縮貯留槽」を2系列にしています。流量調整槽は、各系列毎に設けられていますが、連通管でつながっています。
 ポンプにより汲みあげられた汚水は「多孔スクリーン槽」へ移流し、多孔スクリーンにより2mm以上のし渣等を除去します。
 し渣が除去された汚水は「担体流動槽」へ移流し、担体流動槽内の流動担体に付着している好気性微生物により汚濁物質の処理が行われます。
 担体流動槽で処理された水は「生物ろ過槽」の底部に移流し、ろ材を用いた上向流生物ろ過により固形物を除去します。槽底部に堆積する余剰汚泥はエアリフトポンプにより定期的に汚泥濃縮貯留槽へ移送されます。
 ろ材によりろ過された水は、「消毒槽」へ移流し塩素消毒された後に放流されます。

図1 処理工程図
 
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3.特長

1)コンパクト設計と安定した水質
 流量調整槽と担体流動槽のバランスを検討することで槽のコンパクト化と安定した水質を確保しています。
 大型浄化槽では使用用途が多岐にわたるため処理槽の負荷が用途により大きく変わる特徴があります。その中で安定した処理性能を発揮するために、担体流動槽の容量検討を行っています。
 さらに、担体流動槽の処理性能を維持しうる流量調整槽とのバランスを求めるために流量調整比と流入パターン及び流入変動にともなう担体流動槽の応答を調査しました。調査結果より最適な流量調整比と担体流動のバランスを求めたところ、既存の流量調整槽の負荷よりもより高い流入負荷に対応できることが示されました。よって、処理性能を落とさず流量調整槽をよりコンパクトにすることが可能となっています。
 以上より、槽全体がコンパクトになっただけでなく性能評価ではBOD15mg/L以下、COD30mg/L以下、SS15mg/L以下という高い処理性能を確保しています。

2)多孔スクリーンの採用
 流量調整型の浄化槽では機器設備に係るイニシャルコストの高さ・維持管理の煩雑さなどが問題となります。そこでFCI型では自動微細目スクリーンと同等の夾雑物除去性能を持ちながら機器点数を削除し、簡略な維持管理ができるスクリーン設備を採用しました。
 スクリーン設備最大の問題はスクリーンの閉塞にあります。閉塞の原因は様々ですが、流入汚水中の夾雑物によるものと微生物膜の付着によるものが浄化槽では大きな要因となっています。そこでFCI型では詰まりにくさを追及し、2つの方法を用いています。

@ばっ気による方法
 多孔スクリーン面に沿って散気装置より気泡を勢い良く流すことによりスクリーン表面を常時洗浄します。
A流動担体による方法
 多孔スクリーンを担体流動内へ曝すことにより流動担体が旋回とともにスクリーンに接触します。担体の接触によりスクリーン面の生物膜は常時剥離されます。
 また、多孔スクリーン槽内の夾雑物はエアリフトポンプにより定期的に汚泥濃縮貯留槽へ排出されるため夾雑物の堆積によるスクリーンの閉塞がなくなります。
 これらの手法により、多孔スクリーンは常時セルフクリーニングされ、閉塞し難くなっています。
 多孔スクリーンの採用により、従来の流量調整型に比べ機器点数を削減することが可能となりました。また、本設備自体には消耗品がないため消耗品・電気代の削減によるランニングコストの低減にも繋がりました。

3)汚泥搬出計画の柔軟性
 汚泥濃縮貯留槽の設計容量は濃縮汚泥の2週間分としいます。清掃は負荷・運転状況や搬出計画にあわせて汚泥濃縮貯留槽の全量を引き抜きます。
 汚泥濃縮貯留槽を2系列にしているため、汚泥搬出量が多い場合は、1系統ずつ搬出することで1回の汚泥搬出量を少なくすることが出来ます。

4)流入水量が少ない場合の管理上の柔軟性
 図1の処理工程図に示した様に、流量調整槽以降は2系列にしています。流入水量が少ない場合は、片系列を停止することによりランニングコストの低減が出来ます。

@片系列運転への変更条件
 流入濃度が設計値以内で、実流入水量の最大値が設計値の40%以内である必要があります。
A運転方法
 運転切り替え前に、停止する系統の汚泥濃縮貯留槽、担体流動槽、生物ろ過槽を引き抜き、清掃をして清水を規定水位まで注入してください。
 制御盤の系列運転切り替えスイッチ「片系列/両系列」を「片系列」にします。「片系列」を選択すると、ばっ気用ブロワ1台運転(3台ローテーション運転)になり、A系列側の移送ポンプ(流量調整槽)が停止します。A系列側の空気配管しめ切りバルブは「全閉」としてください。
 
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4.まとめ

 近年の工場生産型浄化槽は、51人以上でもコンパクト化が求められます。コンパクト化が市場の動向であり、製造業者としては、この流れに追従するより仕方ありません。ただし、コンパクトであれば、どんなものでもよいことにはなりません。根本にあるのは、浄化槽は生活排水を適切に処理するものだからです。
 さらに、前述したように、規模の大きな浄化槽は小型の浄化槽に比べ様々な用途で使用されます。季節的な変動、規模の縮小等で大きく負荷が変動することも考えられます。その中で、無駄なく、安定した水質を得るためには、保守点検業者、清掃業者の協力のもと柔軟な対応ができる処理槽が必要となります。
 今後もこれらに配慮し、より良い製品の開発に努力したいと思います。
 
 
(大栄産業(株) 企画開発室)
 
 
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