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家庭用浄化槽の脱臭機による臭気対策について
服部 弘二 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2020年7月号)
1. はじめに
2. 臭気の種類
3. 脱臭技術
4. 家庭用浄化槽の臭気対策
5. まとめ
1.はじめに

 浄化槽には、前段に沈殿分離槽や嫌気ろ床槽のような排水の処理フロー中にありながらも汚泥が貯留される槽、あるいは汚泥貯留槽のような排水の処理フローから外れた汚泥が貯留される槽が設けられている。また後段にはブロワから送気することにより好気性雰囲気を保ち生物処理を行う、好気性処理槽が設けられている。
 ブロワにより浄化槽内に送気された空気は、流入する汚水や槽内に貯留された汚泥などを発生源とする臭気と共に槽外へ排出される。臭気については不快に感じる場合が多く様々な対策をされている。
 本稿では家庭用浄化槽に適用する臭気対策方法の一つについて紹介する。
 
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2.臭気の種類

 “におい”と言えば花の香などの心地よい匂いから腐敗臭などの不快な臭いもある。
 表1に臭気物質(不快臭)について示す。

表1 臭気物質とその特徴 (1)
臭気物質 臭いの特徴
アンモニア し尿の臭い、刺激臭
硫化水素 腐敗した卵臭
メチルメルカプタン 腐敗したタマネギ臭
硫化メチル 腐ったキャベツ臭
ノルマル酪酸 汗臭い、畜産系悪臭
トリメチルアミン 腐った魚臭

 浄化槽では主な臭気物質としてアンモニアや硫化水素が考えられる。これらの臭気は単独で存在するのではなく混ざった状態であるため、臭気物質の濃度や強度などにより臭気の特徴は現場ごとに異なってくる。
 
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3.脱臭技術

  脱臭技術は、臭気の種類・濃度、処理の規模、設置状況や管理費用などを考慮し選定される。脱臭技術の一例を表2に示す。
 図1に活性炭吸着法の脱臭機の施工例を示す。

表2 脱臭技術の一例
脱臭技術 水洗法
(スクラバー法)
活性炭
吸着法
土壌
脱臭法
燃焼法 希釈・
拡散法
促進酸化法
(光触媒)
臭気濃度 × ×
×
取扱難易度
特徴 臭気を水に
溶解させる
活性炭の交換
が必要
広い土地が
必要
窒素酸化物な
どのガスが発
生する
周囲の立地を
考慮する必要
がある
新しい技術

図1 脱臭機(活性炭吸着法)
 
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4.家庭用浄化槽の臭気対策

 家庭用浄化槽では臭気対策が行われていない場合も多くある。しかし、排水トラップが何らかの原因で切れた場合は宅内へ臭気が逆流したり、処理水を排出するために排水ポンプ槽を設置した場合はブロワのばっ気による空気の逃げ場がなくなるためマンホールの隙間から漏出し浄化槽周辺で臭気が発生したりすることがあるため、適正に臭気対策を行う必要がある。
 家庭用浄化槽に用いられる脱臭技術は基本的に希釈・拡散法である。浄化槽にある排気口から塩化ビニル管(臭突管)などで軒上や排出しても問題のない位置まで配管を行い、ブロワによって送気される空気や強制排気によって槽内の臭気を排出し、拡散させて問題のない濃度まで希釈する対策である。
 しかしながら浄化槽の設置状況によっては臭気を拡散させるために問題のない位置まで臭突管を配管することが困難な場合がある。例えば、住宅で囲まれている、風通りが悪く空気が停滞する、外観が気になる、などが挙げられる。
 このような場合の代替となる脱臭技術について、戸建て住宅では設置場所が限られるため大規模な脱臭設備の適用は難しい。
 そこで新しい技術で実績はまだ少ないが光触媒を用いた促進酸化法による脱臭機を紹介する(図2)。設置面積は家庭用のブロワ程度であり設置場所は比較的容易に確保できる。配管は浄化槽本体の排気口から下図に示す吸気口へ接続し、脱臭機へ流入させる。

図2 家庭用浄化槽脱臭機(光触媒)

 また、本体内部脱臭剤の充填状況を図3に示す。

図3 脱臭機内部の充填状況

 内部には2種類の脱臭剤が充填され、脱臭剤@では硫化水素等の硫黄化合物を吸着し、脱臭剤Aにおいてアンモニアを吸着、LED光を照射することで酸化分解し濃度を減少させる。
 脱臭性能を確認するため実家庭に設置し、硫化水素の吸気口濃度と排出口濃度の測定を行った結果が図4である。

図4 臭気(硫化水素)濃度の除去

 吸気口での硫化水素濃度が10ppm以上となっても排出口では除去率90%以上となり脱臭の効果が確認された。
 このように2種類の脱臭剤を用いることで浄化槽から発生する臭気の成分である硫化水素、アンモニアを効果的に除去することができる。また地上に容易に設置できることから臭突管にかわる有用な装置として活用が期待される。
 
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5.まとめ
 
  記載した脱臭技術はごく一部あり、その他にも様々な技術があり適用される臭気も様々である。また、新しい脱臭技術も日々進歩している。
 本稿で取り上げた家庭用浄化槽脱臭機が積極的に浄化槽の臭気を除去する際に活用され、臭気対策の一助となれば幸いである。


参考文献・資料
1) 川瀬義矩,はじめての脱臭技術,工業調査会,2009
 
((株)クボタ 滋賀工場)
 
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