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既設単独処理浄化槽の合併転換を指向した
KRS型(省エネ&高度処理型浄化槽)について
古市 昌浩 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2020年3月号)
1. はじめに
2. ハイバッキーKRS型の概要
2.1 処理フローおよび構造と機能
2.2 KRS型浄化槽の特徴
3. おわりに
1.はじめに

 令和元年6月19日に浄化槽法の一部を改正する法律が交付された。この法改正により、市町村が管理する浄化槽が「公共浄化槽」として定義され、市町村による浄化槽処理促進区域の指定が可能となった。
 また、浄化槽台帳の作成が都道府県知事の責で義務化された。さらに都道府県知事は、水質に関する検査結果の報告その他の情報から判断してそのまま放置すれば生活環境の保全及び公衆衛生上重大な支障が生ずるおそれのある状態にあると認められる既存単独処理浄化槽(特定既存単独処理浄化槽)に係る浄化槽管理者に対し、除却その他生活環境の保全及び公衆衛生上必要な措置をとるよう助言または指導をすることができるようになった1)
 これらのことから、行政主導の浄化槽による汚水処理の整備促進と生活環境や公衆衛生の観点から単独処理浄化槽の合併転換が進むと期待されている。一方、令和元年6月11日付で閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」において、上下水道や廃棄物処理施設(浄化槽含む)も対象に、長寿命化、省エネルギー化などを推進することによりCO2排出削減に資することが折込まれた。
 このような背景から当社は、既設単独処理浄化槽の合併転換と浄化槽の省エネルギー化に寄与可能なKRS型を2020年春に発売する予定であることから、2020年2月現在における概要を以下に紹介する。
 
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2.ハイバッキーKRS型の概要

2.1 処理フローおよび構造と機能

 
 KRS型の処理対象人員は5人と7人であり、放流水質は日平均でBOD:20mg/L以下、T-N:20mg/L以下、SS:15mg/L以下、COD:30mg/L以下の高度処理型である。処理フローおよび構造を図1に示す。KRS型は一次処理に沈殿分離槽と嫌気ろ床槽、二次処理には接触ばっ気槽と沈殿槽を組み合せた処理フローとしている。次に構造と機能について述べる。最初に生活排水を沈殿分離槽に流入させる。

@ 沈殿分離槽では流入水に含まれる夾雑物等を分離し、上澄液を嫌気ろ床槽に移流させる。
A 嫌気ろ床槽には網様円錐台状ろ材を充填し、固形物の除去、有機物の嫌気的分解、沈殿槽からの循環水に含まれる硝酸態窒素の脱窒および汚泥の貯留を行う。また、嫌気ろ床槽に設けた嫌気汚泥移送エアリフトポンプにて堆積汚泥を沈殿分離槽へ移送させる。なお、沈殿分離槽および嫌気ろ床槽の上部をピークカット部とし、ピークカット移送エアリフトポンプにより後段の接触ばっ気槽への移流水量の変動を緩和させる。
B 接触ばっ気槽にはヘチマ様円筒状ろ材を充填し、槽底部に配置された散気管から空気を供給することで、ろ材に付着した微生物による有機物の好気的分解とアンモニア態窒素の硝化を行う。
C 沈殿槽では接触ばっ気槽での処理水中に含まれる浮遊物質を沈殿分離させ、上澄み水を消毒槽へ移流させる。また、沈殿槽には循環エアリフトポンプが設置されており、処理水の一部を沈殿分離槽に常時移送(循環)させる。
D 消毒槽では処理水を塩素消毒して放流する。

図1 KRS型の処理フローと構造
 
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2.2 KRS型浄化槽の特徴
 
(1)既設単独処理浄化槽の入替工事への寄与
 KRS型は、新規技術の採用によって全高を従来品であるKTG型に対して約200mm低く、幅も狭くする設計が可能となったことから、単独処理浄化槽(当社品KR型)とほぼ同サイズの合併処理浄化槽の商品化を実現した(図2)。
 これにより、KTG型と比較して狭小地での施工性向上と掘削工事中における湧水発生のリスク低減が見込めることから、既設単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への入替工事が容易となる。
 また、流入管と放流管の落差を10mmとしたことで、設置レイアウトの自由度が広がり、放流ポンプ槽なしで施工が可能になる現場が増加すると期待している。さらに、KRS型はKTG型と同様に割れにくい材料であるDCPD樹脂を採用し、前述した処理フローへの変更により、ブロワのマイコン廃止と1口化を図ったことからマイコンの誤操作と空気配管誤接続発生のポテンシャルを摘み取った。
 これらの特徴は既設単独処理浄化槽の入替工事のみならず、新設工事においても有用と考えられる。

図2 浄化槽のサイズ比較

(2)ブロワの省エネルギー化
 KRS型(5人槽)の消費電力は、環境省の定める省エネ基準および従来品の消費電力(39W)に対して30%低減の27Wとなる(図3)。この省エネルギー化により年間約2,400円(23円/kWh換算)の電気料金が節約され、ブロワによる温室効果ガス排出量の削減量は58kg/年(CO2換算)と算出される(0.012kW×24h×365日×0.555 kg−CO2/kWh)2)
 このことから、KRS型はランニングコストの低減とCO2排出削減へ寄与するものと期待している。
 KRS型の省エネルギー化は、KTG型で実施していた一次処理でのばっ気工程廃止とエアリフトポンプの設置数減により、浄化槽稼働に必要な空気量を少なくし実現した。

(3)メンテナンス性の向上と浄化槽長寿命化への寄与
 KRS型のマンホールは、大口径のφ600mmに統一した(図4)。これにより、浄化槽内部の視野率が高くなり、浄化槽の稼働状況の確認が容易となる。一方、当社ではフィールドでの浄化槽情報を収集し、@ろ材(担体)の改良や変更による耐久性の向上、A嫌気ろ材に付着した汚泥の洗浄容易化、Bろ床における必要強度の確保等の品質向上策をKRS型においても実施している。
 また、マンホールの大口径化の他、浄化槽の長寿命化への寄与を目的に、空気配管等の内部部品を可能な限り取り外しできるよう配慮し、内部部品の交換や修理実施の可能性を高めた。
 なお、維持管理頻度はKTG型と同様、通常の使用状態において保守点検3回/年、清掃は1回/年としている。今回の法改正では、浄化槽管理士に対する研修機会の確保が定められたことから、浄化槽団体等が主催する講習会への講師派遣を可能な限り行っていきたいと考えている。

図3 ブロワ省エネ基準と消費電力 図4 大口径マンホールと浄化槽内部
 
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3.おわりに
 
  今回の浄化槽法改正により、浄化槽による単独処理浄化槽の合併転換と経済的な汚水処理の普及が進むと考えられる。今回発売するKRS型がその一翼を担うことを期待し結びとする。


参考資料・文献
1) 環境省、浄化槽法の一部を改正する法律(令和元年法律第40号)
2) 社団法人浄化槽システム協会、平成21年度浄化槽の低炭素化に向けた調査検討業務報告書、p.16、2010.
 
((株)ハウステック 環境事業企画部)
 
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