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中丸 貴司 |
(一社)浄化槽システム協会講師団 |
(月刊浄化槽 2019年11月号) |
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1.はじめに
近年、環境問題は多くの場面で取り上げられています。それに伴い世の中には様々な分野で多くの環境貢献製品があります。当社で扱っています家庭用エコキュート(ヒートポンプ式給湯器)も環境貢献製品として販売しております。
しかし、エコキュートは2001年に初めて上市されてまだ20年に経っておりません。それ以前は効率の悪い電気温水器が主流でしたが、電気温水器の寿命は約10〜15年と言われていますので現在環境及び効率の良いエコキュートに入れ替わってきております。生活排水で言えば合併処理浄化槽も環境に大きく貢献している製品だと言えます。しかし、市場に多く埋まっています単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への入れ替えはほとんど進んでいません。
今回エコキュートの入れ替えについてご説明しながら、単独処理浄化槽の入れ替えについて考えたいと思います。 |
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2.エコキュート(ヒートポンプ式給湯器)について
電気温水器は、「1」の電気エネルギーでお湯を沸かしますが、エコキュートは「1」の電気エネルギーを使って、「2」の大気熱エネルギーをくみ上げることで「3」以上の熱エネルギーでお湯を沸かします。
よって従来の電気温水器に比べて3倍以上も省エネで電気代は電気温水器にくらべ約1/5です。(当社機種での比較)
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3.家庭用ヒートポンプ給湯器累計出荷実績
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図−2 家庭用ヒートポンプ給湯機出荷統計
((一社)日本冷凍空調工業会 出荷統計より) |
上記の通り2018年度時点で設置後10年以上経過しているエコキュートが174万台あり、10年で交換すると単純に考えますと毎年40万台の買い替え需要が見込まれます。 |
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4.新設住宅着工戸数の実績と予測値
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図−3 新設住宅着工戸数の実績と予測値
((株)野村総合研究所 18/6予測値データ) |
新設の住宅着工戸数は2016年から減少傾向にあり、今後も減少傾向が予測されています。
しかし、エコキュートについては、新築分は減少していますが図−2に示します様に、設置後10年以上の買い替え需要の影響で2018年度エコキュート業界伸長率は108%となっています。 |
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5.合併浄化槽の入れ替え(リフォーム)
合併処理浄化槽の入れ替えについて実際にどうでしょうか。当社は大手HM(ホームメーカー)にユニットバス、エコキュート等を販売しており、リフォーム販売も行っていますが浄化槽の入れ替え実績は殆どありません。それどころか30年以上前の単独処理浄化槽の修理依頼がいまだに続いている状況です。
浄化槽の寿命は一体何年なのでしょうか。仮に30年を寿命としても材料のメーカー希望小売価格約66万円に対して先ほどのエコキュートは本体材料代約80万円×3回(10年で買い替え)で240万円です。
浄化槽も毎日お客様が使用している製品なのにリフォーム(買い替え)が認知されていません。埋設されている単独処理浄化槽についても同じだと思います。
今後単独処理浄化槽の置き換えも含め、浄化槽について機能、役割等の認知度を上げて行く活動がさらに必要になってくると思います。 |
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6.おわりに
今年の6月に浄化槽法の一部が改正され、環境施策の切り口から単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への置き換えが推進しやすい方向へなっております。
しかし、一般の人には浄化槽についての認知度はまだまだ足らないと思います。
今後更に関係省庁、業界等が協力して浄化槽という製品の認知度を上げて行く必要があるのではないでしょうか?
参考資料・文献
1. |
積水ホームテクノ株式会社 『エコキュート』カタログより |
2. |
(一社)日本冷凍空調工業会 出荷統計より |
3. |
(株)野村総合研究所 18/6予測値データ |
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(積水ホームテクノ(株) 事業統括部商品企画部) |
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