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BGF水路を用いた浄化槽処理水の再利用技術について
市成 剛 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2019年 1月号)
1.はじめに
2.バイオジオフィルターの特徴
3.BGF水路を用いた浄化槽処理水の再利用システム
4.おわりに

1.はじめに

  地球に存在する水のうち、人が利用しやすい状態の淡水量はわずか0.01%であり、世界規模での人口増加や産業発展により、2050年には深刻な水不足に見舞われる人口が39億人(世界人口の40%以上)になると予想されている1)。とりわけアフリカ北部・南部、南アジアと中央アジアを中心に今後水不足が深刻化するといわれており、人が使い汚してしまった水をその場できれいにし、再利用する技術の開発が求められる。また、省エネルギーで設置費が安く、維持管理の手間が少ない植物を利用した水質浄化法(植生浄化)が、近年、世界的にも注目を集めている。わが国においても、湿地法2)、水耕生物ろ過法3)、バイオジオフィルター法4)などの研究開発、実用化が進められている。ここでは、戸建住宅にも設置できる小規模な植生浄化設備として、有用植物と天然鉱物ろ材を組み合わせたバイオジオフィルター水路に、浄化槽処理水を通水(再利用)した際の野菜や花卉類の生育実績とバイオジオフィルター水路における水質浄化特性について紹介する。

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2.バイオジオフィルターの特徴
 
  バイオジオフィルター(Biogeofilter;以下BGF)は、有用植物と天然鉱物ろ材(ゼオライトや鹿沼土、軽石など)を組み合わせ、植物の養分吸収作用、ろ材による吸着・ろ過機能および付着微生物の浄化機能を有効に利用した水質浄化法である5)。本法の特徴は、植栽植物の耐湿性に応じ、水路内のろ材充填高さを変え、水生植物とともに利用価値の高い陸生植物を水質浄化に活用できることである(図1)。
図1 バイオジオフィルター水路
(特許第3787610号、考案者;尾ア保夫、阿部薫)
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3.BGF水路を用いた浄化槽処理水の再利用システム
 
(1) システムの概要
    図2に浄化槽(フジクリーン工業(株)製、CENeco-5型、総容量2.83m3)とBGF水路(内寸59×546cm、高さ31.5cm、水深17cm、水路内の水保持量≒302L)2系列を組み合わせた浄化槽処理水再利用システムの一例を示す。BGF水路内には高さ28cmとなるように軽石(粒径2〜11mm)が充填されており、貯留槽に貯められた浄化槽処理水は、各BGF水路に水中ポンプで間欠的に供給(162〜374L・day-1)される。3〜4月に花卉・コニファー水路にコニファー4株、ビデンス、カリブラコア、ロベリア等の花卉8種を植栽し、野菜水路にはコマツナ、サラダナ、リーフレタスを播種して、浄化槽処理水をBGF水路に供給した6)。本システムでは、有用植物の培養液として浄化槽処理水を再利用することから、水やりと施肥が不要となり、季節に応じて花卉や野菜を植え替えることで、花卉類の鑑賞や野菜の収穫を楽しむことができる。

図2 BGF水路を用いた浄化槽処理水再利用システム

(2) 野菜や花卉の生育実績
    花卉・コニファー水路に移植した主な植物(全19科34種)を表1に、2017年5月〜2018年6月にかけて収穫した野菜の収穫量(可食部)を表2にまとめて示す。花卉・コニファー水路では、34種中32種の花卉園芸植物が良好に生育し、とりわけキク科ビデンス、ナス科カリブラコア、スミレ科パンジーは、鑑賞性が高く、花がら摘みや剪定の手間も少なく、管理が容易であった。野菜水路では、春から夏にかけて、リーフレタス、トマト、十六ササゲ、エンサイおよびサトイモの生育が旺盛で、秋に植栽した野菜では、山東菜、シュンギク、セリなどが多く収穫できた(表2、写真1)。

表1 花卉・コニファー水路に移植した主な植物7) 表2 野菜の収穫量(可食部)8)


写真1 BGF水路有用植物の生育状況と収穫野菜

(3) BGF水路の浄化特性
    2017年4月から1年間のBGF水路におけるT-N、T-Pの浄化成績を図3にまとめて示す。各水路とも植物の成長が旺盛な8月に最大除去量を示し、バイオマスの成長速度が高い野菜水路の方が、花卉・コニファー水路より除去量が高まる傾向を示した。また、本システムを設置した家庭では、漂白剤や合成洗剤などの使用を自粛するなど、生活様式についても見直しを行っている。このため、BGF水路の流出水を導いているビオトープ池は、メダカやヤゴ、ゲンゴロウなど多様な生物の生息の場となっていた。

図3 BGF水路のT-N、T-P浄化成績
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4.おわりに
 
  重金属などの有害物質が混入していない浄化槽処理水は、栄養バランスの良い優れた培養液であり、浄化槽にBGF水路を組み合わせることで、設置者が有用植物の栽培や収穫を楽しみながら、限りある水資源の有効利用が実現できる。自然の浄化原理を利用する植生浄化法は、その浄化速度の遅さ(活性汚泥法や物理化学的処理に比べ)、浄化性能が気候条件に依存するなどの課題を有しているが、省エネルギーで環境にやさしいことから、持続可能な社会の構築に有効な浄化方法の一つと考えられる。さらに、ガーデニングやビオトープなどの景観形成にも役立つため、地域住民への環境意識の啓発活動としてもその普及が期待される。
 
参考文献
1) http://www.oecd.org/environment/outlookto2050
2) 矢野篤男;人工湿地の浄化機構と普及への課題, 環境浄化技術, 46, (11), p.568-574, 2017.
3) 李先寧, 稲石高雄, 中里広幸, 野村宗弘, 西村修, 稲森悠平, 須藤隆一;水耕生物ろ過法における水面積負荷及び収穫の浄化機能に及ぼす影響と隔離水界を用いた浄化効果の評価, 日本水処理生物学会誌, 41, (2), p.61-71, 2005.
4) 尾ア保夫;有用植物を用いた生活排水の循環・共生型水質浄化システムの開発, 日本水処理生物学会誌, 33, (3), p.97-107, 1997.
5) 尾ア保夫, 阿部薫;有用植物を用いた生活排水等の高度処理−バイオジオフィルターの適用−, BIO INDUSTRY, 26, (11), p.28-37, 2009.
6) 尾ア保夫, 仲野祥子, 市成剛;浄化槽と有用植物栽培水路を組み合わせた生活排水の浄化・再生, 用水と廃水, 60, (7), p.73-79, 2018.
7) 仲野祥子, 齊藤博之, 市成剛, 後藤雅司, 尾ア保夫;浄化槽と簡易BGF水路を組み合わせた生活排水の浄化−花卉類の選抜−, 日本水処理生物学会誌, 別巻第38号, p.57, 2018.
8) 尾ア保夫, 仲野祥子, 市成剛, 後藤雅司;浄化槽と簡易BGF水路を組み合わせた生活排水の浄化−植栽野菜の生育と水質変化−, 日本水処理生物学会誌, 別巻第38号, p.56, 2018.
(フジクリーン工業梶j
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