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小型浄化槽の雨水貯留槽への活用事例
喜多 亮夫 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2018年 9月号)
1.はじめに
2.雨水活用の多様な側面
3.小型浄化槽の躯体を活用した雨水貯留槽
4.施工事例
5.おわりに

1.はじめに

  2014年5月1日「雨水(あまみず)の利用の推進に関する法律」(以下「雨水法」)が施行され、2015年3月には国土交通大臣により基本方針が定められた。基本方針では国や独立行政法人等の、最下階床下等に雨水貯留に活用できる空間を有した新築建築物については雨水利用施設の設置率を原則100%にするなど、国が率先して雨水の利用を推進し、全国の地方公共団体や民間への波及を促すものとしているが、戸建住宅までの波及に至ってはまだまだこれからである。
  以下では雨水活用の治水・利水面だけではなく、災害対策など多方面にわたる目的についても考察し、戸建住宅に対して弊社の小型浄化槽の躯体を雨水貯留槽として活用した事例を紹介する。

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2.雨水活用の多様な側面
 
  雨水活用でまっさきに思い浮かべるのは庭への散水やトイレの流し水など水資源として活用する利水の面であるが、実際には利水以外にもさまざまな側面がある。雨水法も「雨水の利用を推進し、もって水資源の有効な利用を図り、あわせて下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制に寄与することを目的」として施行されており、利水の面だけではなく治水の面での活用も強調されているところである。
  気候変動に伴う記録的な集中豪雨は近年多発傾向にあり、地震災害もいつ起こってもおかしくない状況が続いているなかで、雨水活用の防災や治水の面がこれからますます注目されるものとおもわれる。地震や水害発生時などの緊急時に水道施設が被災した場合など、生命維持に要する飲料水の確保は個人で備蓄した水や地域の耐震貯水槽・配水車等でなんとかまかなえたとしても、トイレ流し水を含めた生活用水の確保までとなると水道施設の復旧が必要となり相当の期間を要する場合がある。
  日本建築学会が発行した「雨水活用技術規準」では、雨水活用を行うために雨を敷地内にとどめる「蓄雨(ちくう)」という概念を新しく提唱し雨水活用の多様な側面を表現している。

防災蓄雨
非常時の必要最小限の生活用水を確保する防災のための蓄雨
治水蓄雨
豪雨時の下水・河川への集中的な雨水流入を抑制する治水ための蓄雨
環境蓄雨
敷地緑化や地下浸透により雨水循環系を維持する環境のための蓄雨
利水蓄雨
散水・トイレ流し水等用途に応じて雨水を利用する利水のための蓄雨
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3.小型浄化槽の躯体を活用した雨水貯留槽

  一般的に流通している雨水タンクはホームセンター等でも購入可能で安価で設置も容易であるが、容量は大きなものでも500L程度しかなく、前述した雨水活用の多様な側面をすべてまかなうことはできない。
  今回紹介する小型浄化槽の躯体を活用した雨水貯留槽の場合は浄化槽と同じように別途施工費がかかるため比較的高額にはなるが、設置場所さえ確保できれば十分な容量が確保できる。
  小型浄化槽の5人槽を雨水貯留槽に活用した例を図-1にしめす。浄化槽を構成する仕切板は強度部材としてそのまま残し、下部を数箇所開口して多段の沈砂機能を持たせている。水位がほぼ一定の浄化槽の場合と異なり、雨水貯留槽の場合は降雨状況により水位が大きく変動するため、通常の浄化槽よりも躯体を補強している。地中埋設のため上部を駐車場等に活用でき、日光による藻の繁殖などの配慮は不要となる。

図-1 浄化槽を利用した雨水貯留槽の例

  地下埋設であるため揚水・給水に電動井戸ポンプを使用し、所定の水位でポンプが停止するようフロートスイッチを設けてあり、その水位以下の水は緊急時の防災用水として活用できるよう余裕をもたせることができる。水害対策として下水や土砂の流入を抑制するためには、オーバーフロー管に逆流防止弁を設ける等の配慮が必要になる。
  雨水の利用用途としては散水やトイレ流し水への利用が一般的であるが、トイレへの給水については手洗い付きロータンクのものは避け、温水便座も流し水の給水と温水洗浄の給水が別配管できるものにする必要がある。
  そのほか実際の施工にあたっては設置状況に応じて、「雨水活用建築ガイドライン」(日本建築学会)等のガイドラインに従い留意のうえ実施する必要がある。
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4.施工事例
 
  小型浄化槽7人槽の躯体を活用した雨水貯留槽を用いた施工事例を写真-1、図-2にしめす。

写真-1 施工中の雨水貯留槽

図-2 雨水利用システム

  この事例では散水やトイレのほかに洗濯にも雨水が給水されている。雨水はもとをたどれば蒸留水であり天然の軟水である。硬度の低い軟水は洗剤の泡立ちもよく汚れ落ちがよいため、洗濯を最優先に雨水を活用しており、洗剤も環境に負荷の少ないせっけんを使用している。せっかく蒸留水に近い雨水をトイレ流し水に使うのはむしろ「もったいない」ことなのである。

  写真-2に示すのは雨水貯留槽を並列して連通管でつないだ施工例である。敷地の大きい場合に限られるが、容量を増やしたいときに有効である。

写真-2 雨水貯留槽を並列施工した例
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5.おわりに

  今回雨水貯留槽として紹介したものはもともと浄化槽の躯体を活用したものである。浄化槽は排水をその場で処理する分散型の汚水処理施設であり、災害に強い側面をもち、地域の水循環にも寄与するものである。その浄化槽の製品技術が雨水貯留槽に活用することでも防災や環境に寄与できることは大変興味深い。これからも幅広い視野をもって製品・技術を通じて地域社会に貢献していきたいと考えている。

 
参考資料
雨水の利用の推進に関するガイドライン(案)(国土交通省 水管理・国土保全局 水資源部)
雨水活用技術規準(日本建築学会)
雨水活用建築ガイドライン(日本建築学会)
雨水が育む、希望の心(村上悟) 水循環 貯留と浸透 VOL.97 雨水貯留浸透技術協会
雨水貯留槽工事写真(NPO碧いびわ湖)
((株)クボタ 滋賀工場)
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