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小形風力発電システムについて
大森 大輔 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2018年3月号)
1.はじめに
2.小形風力発電システムの概要
3.小形風力発電導入のポイント
4.小形風力発電の導入事例
5.まとめ

1.はじめに

  風力発電は、風の運動エネルギーを風車で機械的回転力に変換し、発電機を回して発電するシステムである。本システムは、昨今のCO2排出削減を目的とした化石燃料や原子力に代わる自然エネルギー由来の発電システムとしての一面だけに留まらず、災害等で既存発電所からの送電システムがダメージを受けても緊急用の独立電源として生活用水の給水設備や浄化槽をはじめとする排水処理設備など生活に不可欠なインフラ設備の電源確保、離島や途上国等の電源インフラが未整備の地域の独立電源システムとしても活用が可能で、太陽光発電と並んで有望な発電手法とされている。本稿では、小形風力発電システムおよび弊社の子会社である(株)シルフィードが導入を進めている小形風力発電システムについて主な概要について導入事例を交えて紹介する。

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2.小形風力発電システムの概要
 
2-1 システムの概要
  図1に小形風力発電システムの構成例を示す。小形風力発電システム(以下、「小形風車」と呼称)は、小形風力発電機、タワー、基礎、ケーブル、制御回路、(整流回路)、パワーコンディショナ、ブレーカおよび取扱説明書を含めた発電設備としての総称である。なお、小形風車本体は、ロータの受風面積が200m2 未満のものが対象となる。
  風のエネルギーを回転力に変換するのが、ロータである。この形状は、メーカにより様々特徴的な形状がある。表1に代表的な形状と特徴を示した。プロペラ型、ダリウス型、直線翼垂直軸型、サボニウス型などが主なものである。


図1 小形風力発電システムの構成例(系統連系タイプ)

表1 ロータの形状と特徴
プロペラ型風車[水平軸揚力型風車]
発電用風車として多く使われている。ブレードの枚数は1〜5枚のものと、多くのブレードから構成される多翼型のものがある。一般的に3枚翼が多くパワーバンドの広い安定した出力が得られる。風向きに対する制御が必要となるが、強風時に風を受け流す機構と併用できる。
ダリウス型風車[垂直軸揚力型風車]
フランス人により発明された垂直軸風車で、ブレードの形状が縄跳びの縄の曲線になっているのが特徴。ブレードには遠心力が作用しない設計となっている。自己起動性に乏しいため、サボニウス形風車と組み合わせる工夫がなされている。
直線翼垂直軸型風車[垂直軸揚力型風車]
ブレードが垂直に取り付けられ、翼断面は対称翼型が一般的。自己起動が可能なタイプもある。
サポニウス型風車[垂直軸揚力型風車]
フィンランド人の考案による風車で、起動トルクが大きいため起動性は良いが、回転数は低く抑えられる。


2-2 システム運用上の注意点
(1) ロータの回転制御
    小形風車は風速が高まるとともに発電量は大きくなるが、定格出力を超えて発電する場合、過剰な発電により発電機や各種機器に故障が起こらないよう、小形風車を制御し、ロータの回転数を抑えたり、ロータを停止させたりする必要がある。小形風車に見られる制御方法としては、以下のようなものがある。
 
a) 可変ピッチ制御
  プロペラ型風車において、風に対する風車の羽根の角度を制御することで、発電出力、風車回転数を落とす方法。
b) ロータ偏向制御
  水平軸風車の場合は風の方向に風車を正対させ、発電するシステムになるが、風車の機構により、ロータを風向からそらすことで風車の回転数を落とし、発電出力を制御する方法。
c) 短絡ブレーキによる制御
  小形風車の発電機の出力端子を短絡することで、発電機の負荷が最大になることを利用して、風車にブレーキをかけ停止させる方法。ただし風車が過回転している場合、いきなり小形風車の発電機を短絡させることは、発電機に大電流が流れることになり、発電機の焼損・故障の原因につながるため、通常は発電機の負荷を徐々に大きくしていき、回転をある程度落とした状態で短絡ブレーキをかけることにより、安全に風車を停止する制御方法が取られている。
d) 機械式ブレーキによる制御
  強風時に風車を安全に停止させるために、ロータにディスクブレーキやドラムブレーキの機構を取り付けて、ロータの回転を手動又は自動で停止させる方法。
e) その他の制御方法
  その他にも、電気的に制御している風車においては、風車本体を風向から90°そらすファーリング制御を行うことで強風時の発電制御を行う方法や、翼の先端部のみピッチ角を制御することで、風車の回転数を制御する方式など様々な方式がある。
(2)
    小形風車から発生する音の主な要因は、ブレードが回転する際の風切音である。水平軸型の小形風力発電機の場合、回転数が高くなるものが多く、通常、風切音は風車の回転数が増加するとともに音が大きくなり、風を切る[シュッシュッ]という音が発生する。あるいは風が強く、小形風車のブレードのピッチを変更させるものに関しては、ヘリコプターが飛ぶときの[バタバタバタ]という音が発生するものもある。
  その他の音としては、独立電源仕様の小形風車の場合は、制御コントローラ等の制御機器、系統連系仕様の場合は、PCS等の逆変換装置類において、発電時に発する制御機器関連の音(運転/停止のスイッチ切り替え音、冷却ファンの音、機器から発振する高周波音)がある。
  住宅や建物内部にPCS等の逆変換装置を設置の際には、その音の特徴を十分に注意し、生活上の妨げとならない場所に設置する必要がある。
  最近では各小形風車メーカによっては、騒音を下げる工夫をしているものもある。例えば、羽根の形状や表面加工および、風車音を減らすよう低回転の設計にするなど様々な工夫がなされている。ちなみに小形風車の音に関する測定方法は、IEC 61400-11(JIS C 1400-11:騒音測定方法)にて定められている。
(3) 振動
    振動については、小形・マイクロ風車は住宅やビル等の建物に設置するケースもあるため、風車がもつ固有振動数の影響により、風車から建物への振動に関して十分注意が必要である。
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3.小形風力発電導入のポイント

3-1 目的・用途の決定
  小形風車を導入する時には、その目的や用途を明確にすることが肝要である。その目的・用途を明確にせず導入を進めた場合、メーカや設置業者または周辺住民とのトラブルの原因となりかねないため、目的・用途を設置前にメーカや設置業者に伝え、綿密な合意形成を行うことが必要となる。推奨される選定手法を図2に示す。


図2 小形風力発電システムの選定手法

3-2 設置場所の選定
3-2-1 風の強さ(平均風速)の調査
  風力発電システムの導入にあたって、風が無い場所に設置されることが無いよう事前の風況調査は極めて重要となる。風況状況の確認には、NEDO局所風況マップや環境省の風況マップが活用されることが多い。これらの風況マップは500mメッシュでシミュレーションにより算出された風況データで、全国ピンポイントの風速を参照することが可能である。また、設置箇所の周辺に風を遮ったり乱流が発生したりする要因となる障害物が無いかGoogle Map等を活用した事前確認が必要となるが、さらに精度を上げるための事前の現地確認は必須で、現地における一定期間の風況調査が推奨される。

3-2-2 近隣状況の調査
  風力発電機が回転する際には、翼やロータの回転音およびモーター音が発生するとともに、風車回転時の影のちらつき(シャドーフリッカー)が生じる。これらは、近隣住民の苦情となる可能性があるため、あらかじめメーカの推奨する住宅地からの離隔距離を遵守する必要がある。

3-3 その他注意点等
  このほかの注意すべきポイントとしては、以下のとおりである。
  ・設置場所特有の気象条件(雷、台風、豪雪等)を考慮した機種選定
  ・設置に関する各種法令(電気事業法、電波法、航空法、自然環境保全法等)抵触の有無
  ・FIT(電気の固定価格買取制度)活用時における認証取得の有無
  ・メーカーアフターサービス体制、設置工事業者の資格、実績の有無、保証・保険の適用の有無
上記等の事前確認が必要となる。また、さらに既存系統電源に連系する場合は、電力会社との個別の連系協議を行って、電力会社の承認を得る必要がある。
  なお、設置者が実際に小形風力発電を導入する際に利用しやすい情報発信を目的として、(一社)日本小型風力発電協会によって小型風車導入手引書が策定されているので必要時にはご参照されたい。(http://www.jswta.jp/

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4.小形風力発電の導入事例
 
4-1 小形風力発電システム「VAS-3.0」((株)シルフィード)の概要
  (株)シルフィードでは、出力3.0kW、垂直軸タイプの風力発電システムをラインナップしている。図3にVAS-3.0型の仕様を記すが、FRP製の3枚ブレード(翼)構成で以下の特徴を有する。
強風による過回転を起因とした事故を抑制し、幅広い風速域で安全に回り続けることが可能。
低風速域でも良好な起動性、中風速域での高いエネルギー変換効率、高風速域での安定した発電を実現した。
安全性と実用性を実現できたことで、設置可能な場所が広がり、様々なデバイスとの連係が可能となった。
上記の通り、「安全性」「実用性」「拡張性」をコンセプトに開発された製品であることから、これまでの一般的な風力発電システムと比較してより身近に再生可能エネルギーの導入を可能とした。地域コミュニティ単位の系統連携電源および独立電源として、さらには災害時の非常電源設備としての導入が期待される。また、今後はこの特徴を生かしながら対応規模(発電出力)を拡充すべく製品開発を進める予定である。
図3 VAS-3.0の仕様・外観

4-2 「VAS-3.0」の導入事例
 VAS-3.0型の導入事例を以下に記す。
<導入事例1>
施設名称) 民間企業事務所
設置地域) 茨城県龍ケ崎市
設置用途) 事務所向け独立電源
施設概要) 平常時は事務所内照明電源として使用し、万一災害などで商用電源が使用不可能になった場合でもVAS-3.0からの電力供給によりこれらの負荷を継続して使用し続ける事が可能。今後は、太陽光などの再生エネルギーとのハイブリット化も検討し、さらなる再生可能エネルギーの有効利用を進める予定である。


<導入事例2>
施設名称) 民間企業社員寮
設置地域) 千葉県旭市
設置用途) 集合住宅向け独立電源
施設概要) 平常時はガス給湯器用電源、浄化槽ブロワ用電源、一般家電用コンセントとして使用し、万一災害などで商用電源が使用不可能になった場合でもVAS-3.0からの電力供給によりこれらの負荷を継続して使用し続ける事が可能。また、断水が発生した場合には電動の地下水汲み上げポンプを作動させて生活用水の確保が可能となる。

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5.まとめ
 
  小型風力発電システムは、大型の風力発電システムに比べてまだまだ認知度は低いが、従来持つシステムの弱点を改善しながら実用性を高めてきた。導入コスト面等にまだ課題は残すものの、「小型」の利点を生かし、医療施設、教育施設、公共施設等の小規模コミュニティのほか、農業分野、通信・観測所等の幅広い分野への活用が期待される。さらに浄化槽メーカとして、山岳や離島など送電網が整備されていない地域に設置されるトイレや浄化槽の電源として活用が見込まれる事から、太陽光発電と同様、さらに我々に身近な自然エネルギーシステムとして普及促進を図る所存である。

<参考文献>
1) 一般社団法人日本小形風力発電協会:小型風車導入手引書(2012)
2) 久保昌也:小型風力発電の導入のポイントと設置事例のご紹介(2017)
3) 株式会社シルフィード:小型風力発電機 VAS-3.0 (カタログ)
4) 株式会社シルフィード ホームページ:http://www.sylphid.co.jp/
(株式会社ダイキアクシス 生産事業部)
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