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大型浄化槽の省エネ化事例
中村 智明 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2017年9月号)
1.はじめに
2.既設浄化槽の実態
3.既設浄化槽への省エネ導入事例
4.おわりに

1.はじめに

  低炭素社会の実現のためには、浄化槽においても更なるエネルギー消費量の削減が必要である。大型浄化槽では、建築用途によって流入水量が特定の季節や曜日によって変動したり、流入水量の変動は少ないが原水濃度が時間帯、曜日、季節で変動したりする状況がみられる。
  省エネを実現するには、100%の汚濁負荷量に対応して設計されている浄化槽機器の消費電力を、負荷量に見合ったものに削減することが有効である。そこで省エネ化の手法として、既設浄化槽へばっ気時間自動制御装置(ATC)を導入した事例の紹介を行う。

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2.既設浄化槽の実態
 
 2-1 流入負荷量
  浄化槽への汚濁負荷量は水量×濃度で求められるが、多くの施設では、その場で水質分析はできないため、流入水量より流入負荷量を想定した。
  当社で維持管理を行っている101人槽以上の浄化槽を調査したところ、設計値に対する水量負荷率は平均42.1%と低く、50%を超える件数は24施設中6施設しかなかった(図-1)。住宅用途と住宅以外の用途で水量負荷率を比較すると、住宅用途が50.8%と、住宅以外の用途の35.9%に比べて高い傾向にあった。1日の水量変動は、住宅以外の用途で曜日による変動が大きい施設が多く、休日は排水の流入が無い施設もあった。

図-1 設計水量に対する流入水量の割合

 2-2 設置機器の動力構成
  2-1の施設において、全機器の消費電力に占めるブロワ消費電力(消費電力=機器動力×設計稼働時間)の割合を調査したところ、40〜60%を占める件数が最も多く、次に多いのが60〜80%であった(図-2)。この割合が大きい施設ほど、ブロワの省エネ対策を行うことにより大きな省エネ効果を得ることができると考えられる。

図-2 全動力に占めるブロワ動力の割合
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3.既設浄化槽への省エネ導入事例

  紹介する施設は研修所(寮併設)の浄化槽で、建物の増築により計画汚水量が増え改修が必要となった事例である。既設浄化槽の処理方式は第6−四+三次処理(脱窒塔+接触ばっ気+砂ろ過)で、流入負荷量に関係なくブロワを1日16時間のタイマーで運転している施設に対して、表-1、表-2に示す要領で大臣認定型浄化槽(ATC-Z)へ改修を行った。図-3にフローシートを示す。

表-1 改修浄化槽の仕様

表-2 浄化槽の改修概要

図-3 改修前後のフローシート

 3-1ばっ気時間自動制御装置(ATC)の制御状況
  当施設の流入水量は研修者の人数で変動するが、平均汚水量は48.7m3/日と設計値の60%程度で推移していた。1か月間のばっ気ブロワの稼働時間の推移(図-4)を示す。平日は7〜10時間/日、土日祝は5時間前後での稼働時間となった。また、1日の時間帯ごとの平均ばっ気時間を平日と土日祝で集計したところ、平日は昼間から夜間のばっ気時間が長く明け方は短い傾向に、土日祝は1日の変動幅が小さい傾向にあった(図-5)。いずれの結果からも、ばっ気時間は流入負荷量に比例していることが分かる。

図-4 1か月間のばっ気ブロワ稼働実績

図-5 1日の時間帯ごとのばっ気ブロワ稼働状況

 3-2改修による省エネ効果
@ 処理方式変更に伴う省エネ効果
  浄化槽の改修により三次処理が不要となった。三次処理に要した動力機器の削減により、年間で約4000kwhの省エネ効果および、2.23tのCO2が削減された(表-3)。

表-3 三次処理機器削減による省エネ効果

A ばっ気ブロワの省エネ効果
    ATCによる省エネ効果を、改修前後のブロワ稼働時間より試算した(表-4)。なお、稼働時間は、改修前:運転実績より1日16時間のタイマー運転、改修後:1か月間の平均稼働時間の実績値(図-4より計算)とした。
  改修によりばっ気ブロワの消費電力が54.4%削減され、年間約7,000kwhの省エネ効果および、3.9tのCO2が削減された。この結果には、施設が無人となる夏季・年末年始の長期休暇時を考慮していないため、実際の削減効果は更に大きくなると考えられる。

表-4 ATCによるばっ気ブロワの省エネ効果

  これらの結果より、改修による年間CO2削減量は、稼働機器の削減とATCの効果により、@+A=6.11 t/年となった。
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4.おわりに
 
  大型浄化槽の水量負荷を調査したところ、設計値に対して50%以下の施設が多くあることが分かった。低負荷の施設の多くは処理機能の安定化のため、タイマーによる間欠ばっ気を行っているが、ATCを導入することで更なる省エネと高度処理化が可能である。
  ATCで制御されたばっ気時間の長さは汚濁負荷量と比例するため、過去のばっ気時間を確認することにより、毎日の負荷変動状況を把握することができる。そのため、巡回点検の施設でも、正確に流入負荷状況や排水処理状況を把握することができ、維持管理の省力化ツールとしても有効である。
 
参考文献
1)社団法人浄化槽システム協会,平成28年度次世代浄化槽システムに関する調査検討業務報告書
2)月刊浄化槽,2017年8月号,大型浄化槽の省エネ対策
((株)西原ネオ)
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