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大型浄化槽への省エネ機器導入について
後藤 雅司 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2017年3月号)
1.はじめに
2.高効率ブロワについて
3.インバータについて
4.タイマー運転(間欠ばっ気等)について
5.インバータ、タイマー機器導入の留意点
6.インバータ、タイマー機器導入に向けて
7.おわりに

1.はじめに

  環境省より平成29年浄化槽整備推進関係予算(案)の概要が開示され、従来の循環型社会交付金の他、新たなメニューとして二酸化炭素排出抑制事業費等の補助金が創設された1)
  この補助金は、エネルギー対策特別会計(エネ特会計)からの繰り入れを計画しているものであり、石油、石炭税が財源となっている。
  エネ特会計は、エネルギー需要構造高度化対策として、経済的社会環境に応じた安定的かつ適切なエネルギーの需要構造の構築を目的としており、省エネルギー、再生可能エネルギー及びエネルギー起源のCO2排出抑制対策を講じることとなっている。平成26年度エネ特会計予算の主な事業は以下のとおりである2)
 〇再生可能エネルギーの最大限の導入
   ・蓄電池の開発や送電網の高度化
   ・省エネ発電の環境アセスメント迅速化
   ・風力・太陽光・地熱発電等の高度化・高効率化等
 〇エネルギーコスト低減につながる「省エネ投資」の加速化
   ・産業部門における省エネ・ピーク対策投資の大幅加速化
   ・家庭・オフィス、運輸部門での省エネルギー対策の強化
   ・省エネ化のための技術開発・実証等の推進
 〇燃料電池の利用拡大
 〇新しいエネルギーマネジメントモデルの確立

  今回、環境省が新たに創設した補助金は、上記の内、「家庭・オフィス、運輸部門での省エネルギー対策の強化」に該当している。
  環境省としては、新たな補助金にて、101人以上の既設大型浄化槽の省エネ化を目指している。大型浄化槽では、ブロワ、ポンプ、水中撹拌装置等の設備を要し、非常に大きな電力が使われている。これらの機器の省エネ化を図るには、高効率ブロワ、インバータ、タイマー制御等を使った省エネ改修が有効であり、補助金では省エネ機器の導入、改修費用の1/2を補助する内容となっている。実施期間は、平成29年から平成33年、補助対象は地方公共団体、民間団体となっている。本稿では、事業の中で例示されている高効率ブロワ、インバータ、タイマー制御に焦点を当て、説明を行う。

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2.高効率ブロワについて
 
  ブロワを含む、ある一定規模以上の電動機では、2015年4月より「トップランナー方式」が適用され、省エネ効果の高いプレミアム高率(IE3)モータが販売されている。
  トップランナー方式の適用範囲を以下に示す3)
  トップランナー方式は、1979年に制定した「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)を基に1999年に、エネルギー消費効率の向上と普及促進を目的として制定された。これは、現行の消費効率(IE1)から最高のエネルギー消費効率以上(IE3)となるように省エネルギー基準を設定する方式であり、2015年10月の段階で31品目が指定されている。

表-1 陸上ポンプ(ブロワ等)の適用範囲
※但し、水中ポンプ、単相電源の汎用ポンプ等は対象から除外される

  資源エネルギー庁が平成21年に行った調査によれば、陸上ポンプを含む三相誘導電動機は、産業部門において約1億台が普及しており、全消費電力の75%を占めている。仮に、全てのモータがプレミアム効率(IE3)に置き換わったら日本における総消費電力の0.9〜1.5%を削減することが可能と試算されている。トップランナー方式の分類と効率について表-2、表-3に示す4)
  表中での効率は、高い方が、エネルギー消費量が少なく省エネ化が図れる。表-3より1E1とIE3では効率に数%の差があり、1E3の方が省エネ機器であること、また、50Hzで出力(kW)の低いブロワはエネルギーの消費効率が低いことがわかる。

表-2 効率クラス(IEコード)とJIS規格

表-3 IEコードと効率の対比表(抜粋)
※IE1〜IE3の効率値は、4極の値

  一例として、30m3/日の大型浄化槽の60Hz、1.5kWに設置されているブロワ(IE1)をプレミアム効率(IE3)のものに更新した場合でシミュレーションを行う。省エネ効果(年間電力削減量A)は次式で表される。



  表-3より、1.5kWのIE1、IE3は、各々81.5%、86.5%となり、ブロワを常時運転とすると、Aの値は約932kWh/年となり、ブロワ更新前(従来電力B=16,123)に比べ5.8%の省エネとなる。
  モータメーカーでは、更に高効率な電動機としてスーパープレミアム効率(IE4、IE5)を開発し、すでに商品化されているものもある。以下にIE1からIE4の比較グラフを示す。
  図-1より、IE4ブロワを導入することで、IE3よりさらに数%の省エネ効果が期待できる。
  省エネ効果が高いプレミアム効率ブロワであるが、従来のブロワと交換する場合は、以下の注意が必要である6)

 @ モータサイズが現行ブロワより大きくなる場合がある
 A モータの定格回転数速度が高くなる傾向にある。したがって、インバータにて回転数を落とす
   ことも有効な場合がある。
 B 始動電流が大きくなる傾向にある。
 したがって、配線用遮断器や電磁界併記の適正化が必要な場合がある。

図-1 出力(横軸)と効率(縦軸)の関係5)
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3.インバータについて

  モータ制御用インバータは、交流電流の周波数を変えることで三相誘電電動機の回転数を簡単に自由に変えることのできる装置であり、省エネ効果が高い。また比較的容易に設置できるため、工場設備等の省エネ機器として、使用されている。
図-2に送風機用インバータの一例を示す7)
  通常、浄化槽のブロワを選定する時、必要空気量に見合ったモータ能力のブロワを選定する。しかし、汎用的に用意されているブロワは、0.75kW、1.5kW、2.2kWと段階的に製品化されており、実際に必要な空気量より大きな風量のブロワを設置している場合が多い。設定風量に合わせるためにバルブで調整する場合もあるが、このような場合は、インバータによって周波数を下げ、適正な空気量に設定することで省エネ化が可能となる。省エネ効果の考え方(理論値)は、次のとおりとなる8)
  ブロワの動力(消費電力)は、回転速度と回転力(トルク)の積で求められ、回転力(トルク)は回転速度の二乗に反比例するとされている。また、回転速度は、周波数(風量)にほぼ比例するため、たとえば、周波数を下げ、ブロワ風量を1/2に調整すると、回転力は1/4、消費電力は1/8となり、大幅な省エネ化が図れることとなる。但し、これは理論上の数字であり、インバータにも効率が関連してくるため、実際には、この計算より省エネ効果は少なくなる点に注意が必要である。
  浄化槽への導入事例としては、間欠ばっ気槽内にDOセンサーを設置し、DO濃度に基づいてブロワ風量をインバータ制御する浄化槽が商品化されており、また、循環水量の調整精度を上げるため、循環ポンプにインバータを使用しているケースがある。

図-2 送風機用インバータ 0.75kW
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4.タイマー運転(間欠ばっ気等)について
 
  大型浄化槽で間欠ばっ気を導入した浄化槽は、性能評価型浄化槽として、すでに製品化されている。しかしながら、従来からの構造基準型浄化槽は、既設浄化槽として数多く設置されている。これらの浄化槽では、流入の無い時間帯でも24時間、ブロワを動かし、ばっ気が行われている。先に述べたように設置されているブロワは、好気処理に必要な空気量を上回る吐出能力(送風量)を選定している場合が多い。また、JIS人員算定で選定した人槽規模より、実使用人員が少なく、大幅に流入水量が少なくなる場合がある。これらの条件下では、過大な電力を消費しているばかりか、過大な空気量によって好気槽内が過ばっ気状態となり、pH低下や汚泥解体による処理性能の悪化が起きる可能性がある。このような場合は、タイマーを用いた間欠ばっ気で適正な空気量に制御し、性能改善や省エネ化が図れる場合がある。特に大型浄化槽では動力機器の消費電力量が大きく、タイマー運転での省エネ効果が大きい。また、大型浄化槽では、通常、操作盤に制御回路が組み込まれており、省電力化を狙いとしたタイマーの設置を比較的容易に行うことができる。
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5.インバータ、タイマー機器導入の留意点
 
  省エネ効果が高いインバータ、タイマー運転であるが、流入負荷に合わせ、設計風量以下でインバータ制御、タイマーによる間欠運転を行う場合は、以下の項目に注意が必要である9)

@ 流入パターンの把握
    住宅以外の浄化槽は、曜日によって流入の負荷が異なる。たとえば事務所・作業所は、平日の負荷が高く、店舗、娯楽施設では休日の負荷が高い。また、学校のように夏季、冬季休暇時間は汚水がほとんど入らないケースもある。このような場合は1週間の流入パターンを把握し、高負荷時にも酸素不足とならないようにインバータ、タイマーの設定する必要がある。
   
A 接触ばっ気方式への省エネ機器導入
    接触ばっ気方式のブロワ風量は、汚水処理に必要な空気量に加え、槽内の旋回流を確保するための空気量が必要とされる。ばっ気を停止したり、低風量で旋回流を弱くすると、ろ材内部の水流が滞るため、ろ材に付着する生物量が多くなり、ろ材内部の嫌気化や閉塞の発生するリスクが高くなる。保守点検では、逆洗操作にてろ材の逆洗を確実に行う必要がある。また、散気装置が目詰まりするリスクも高くなるので、ばっ気状況の確認や散気装置の洗浄等の管理が必要となる。
   
B 活性汚泥方式への省エネ機器導入
    間欠ばっ気運転等を前提としていない施設では、沈殿槽からの汚泥返送(沈降汚泥、スカム)でエアリフトポンプを用いる場合がある。ばっ気とエアリフトポンプが同一ブロワであった場合は、間欠運転のばっ気停止時に汚泥返送が停止し、沈殿槽の沈殿汚泥が返送されずにキャリーオーバーする恐れがある。また、ブロワの運転再開時に空気量のバランスが保たれないことも懸念される。このような場合は、独立したブロワを設けるか、汚泥返送ポンプを組み込む必要がある。また、インバータによる低風量運転では、送気管内のエアバランスに変化が生じるため、エアリフトポンプで規定量の汚泥を返送するために、返送バルブ等の調整を行わなければならない。
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6.インバータ、タイマー機器導入に向けて
 
  インバータ、タイマー機器導入については、使用状態(建築用途、実流入濃度・水量、施設の使用状態、日間・週間の流入パターン)の把握、浄化槽の構造・機能を十分に理解している必要がある。特に散気装置の目詰まり、好気ろ材の閉塞及びDO管理等には留意が必要であり、これらのことを具体的に実践していくには、専門的な知見を有する保守点検業者(浄化槽管理士を含む)が中心となって進めていくことが必要である。 
  省エネ機器を導入するには、保守点検業者が、タイマー運転、インバータ運転による処理性能の改善、省エネ化の可能性を診断後、その方策を設置者に提案し、設置者が受け入れて実行に移す手順が必要である。また、実施時には、清掃業者やメーカー等の協力を得ることや法定検査機関や関連行政への報告も視野に入れておく必要がある。 
  また、設備変更を伴う場合には、浄化槽の認定事項を含め建築基準法の関連規定に抵触しないか確認する必要もあるので注意を要する。
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7.おわりに
 
  温室効果ガス削減に対し、既設大型浄化槽での高効率ブロワ、インバータ制御及びタイマー制御(間欠ばっ気)への改修は、非常に有効な手段と考えられる。しかし、省エネを追及するあまり、処理状態の悪化を招いたのでは本末転倒となる。省エネ機器導入に当たっては、先に挙げた留意点に十分配慮することが必要である。大型浄化槽への省エネ機器導入が、日本の温室効果ガス削減目標(2020年度に2005年度比で3.8%削減、2030年に2013年度比で26%削減)に対し、少しでも貢献できることを願っている。
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参考文献
1) 環境省ホームページ 平成29年度環境省予算(案)省エネ型大型浄化槽システム導入推進事業
2) 財務省ホームページ エネルギー対策特別会計
3) 一般社団法人日本産業機械工業会 2015年汎用ポンプトップランナーモータ導入
4) 一般社団法人日本電気工業会 内発協ニュース(2015年2月号)
5) 経済産業省 平成25年中小企業支援調査(平成26年2月28日)
6) 一般社団法人日本電気工業会 トップランナーモータ パンフレット
7) Panasonic ホームページ  送風機用インバータ三相(0.75kW)
8) 電気と安全(2015年3、4月号) 省エネルギー法とインバータによる省エネ
9) 一般化槽システム協会 平成27次世代浄化槽システムに関する調査検討業務報告書
(フジクリーン工業(株) 執行役員)
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