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中国における生活排水処理
石橋 憲明 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2016年11月号)
1.はじめに
2.都市部の下水処理場の規制動向
3.都市部の下水処理場のPPPの動き
4.生活排水処理の地域格差
5.地方の汚水処理場のPPPの動き
6.地方の生活排水処理の課題
7.おわりに

1.はじめに

  中国は経済発展と共に大気、水、土壌等の汚染が深刻化した。PM2.5の問題は日本でも広く知られるところである。環境汚染を問題視した中国政府は、2006年の第6回全国環境保護会議で、環境保護と経済成長を共に重視する方針を示し、さらに第十二次五カ年計画(2011〜2015年)ではエネルギー消費量と二酸化炭素排出量の削減を盛り込み、環境保護重視を鮮明化させた。
  本稿では、中国の生活排水処理に注目し、その動向について紹介する。

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2.都市部の下水処理場の規制動向
 
  中国は五ヶ年計画に基づき国家運営がなされ、目標値が設定される。排水処理に関する削減目標は、第十一次は2005年比でCODCr:10%減、第十二次は2010年比でCODCr:8%減およびNH4-N:10%減、第十三次は2015年比でCODCr:10%減およびNH4-N:10%減、に設定している。
  五ヶ年計画の目標設定により、都市部(城市)の生活汚水処理普及率は、2006年の55.9%から、2014年の90.2%へ急拡大した。これは、急激な経済発展により汚水量が増大したにも関わらず、多数の下水処理場を建設した成果(2006年:815箇所、2014年:1807箇所)である。また、更なる汚染物質削減のために、下水処理場の改造、運転方法の見直し等も行われている。北京市では下水処理場の放流基準(国家標準:GB18918-2002)ではなく、より厳しい地表水環境基準(国家環境保全基準:GHZB1―1999)のW類を放流基準に採用している(表-1)。また、北京市は水不足のため処理水再利用も義務付けている。極めて厳しい規制と、再利用の義務から、北京市では膜処理(MF、UF、RO)の採用が多い。
表-1 中国の下水処理の放流基準
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3.都市部の下水処理場のPPPの動き

  中国では以前より社会資本を公共投資に活用していたが、2014年の規制緩和により、生活排水処理を含む様々な分野でのPPP(官民パートナーシップ)が更に活発化した。公表されているPPP案件は、計画中含め約9300件あり、総投資額は106兆元に達する。PPP投資には、国営/民営を問わず、大小様々な規模で、資金力のある企業が多く参入している。中には、業種特化型PPP投資企業や、PPP投資を行う製造会社も多い。
  下水処理PPPには、地方政府所有の下水処理場をアップグレード改造含めたROT(改築-運営-委譲)、数箇所の下水処理場を纏めてBOT(建設-運営-委譲)、処理場だけでなく下水管網含めたBOT、MBR(膜分離活性汚泥法)再利用水の供給まで含めたBOT、など様々な形態があり、運営期間もプロジェクト毎に異なる。

図-1 業種別PPP事業の割合

図-2 省級政府別PPP事業の割合
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4.生活排水処理の地域格差
 
  前述のように、都市部(城市、県城)の生活汚水処理率は高いが、一方で地方(建制鎮、行政村)の生活汚水処理率は極めて低い。地方の汚水量は都市部に比べ少ないものの、処理率が低いことから、結果として地方からの未処理汚水量が多い。
生活排水処理施設は、先ず都市部から整備され、その後に管渠を伸ばして汚水を収集し、管渠敷設コストが高くなって初めて、地方の汚水処理場の建設、管渠敷設を行う傾向にある。地方の中でも、建制鎮レベルの処理施設から優先的に整備される。生活排水処理施設が整備されていない地域では、トイレ排水のみ化糞池(セプティックタンク)で固液分離して放流していることが多い。

図-3 地域毎の汚水処理率

図-4 地域毎の汚水未処理量
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5.地方の汚水処理場のPPPの動き

  都市部と同様に、PPP投資企業による地方の汚水処理場のPPP運営への参入が、徐々に増えつつある。都市部と異なる点は、地方の汚水処理場は規模が小さいため、複数の処理場を纏めてPPP投資する傾向が強いことである。例えば、貴州省では汚水処理場13箇所をTOT(譲渡-運営-委譲)で30年間運営する事例がある。湖南省では汚水処理場16箇所をBOT、2箇所をO&M(運営委託)、汚水管網をBT(建設-委譲)、といった複合PPPの事例がある。地方の汚水処理場のPPPは始まったばかりであり、地方政府もPPP投資企業も、PPP方式含め模索中で様子見の状況である。
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6.地方の生活排水処理の課題

  地方の生活排水処理は、処理率の地域格差の問題以外に、幾つもの課題を抱えている。例えば、中央政府では地方の生活排水処理の責任部門が不明確で複数の部門が担当している。施設整備の資金が不足している。全国統一的な基準や制度は無く、処理技術(人工湿地処理、土壌処理、人工池処理、嫌気処理、好気処理など)が乱立している。地域毎の使用水量が大きく異なるため、原単位を定めにくい。トイレは水洗化されていない地域も多い。浄化槽の普及に期待はしているものの、処理費負担の住民意識の欠如、適正な保守点検や汚泥収集・処分方法が未確立、など課題は多い。
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7.おわりに

  中国で環境の汚染とその対策が叫ばれる中、弊社が保有している様々な環境技術が、中国の環境保護の一助になれば幸いである。処理施設・設備の整備には課題が多いが、今後も更なる貢献を行っていく所存である。
((株)クボタ)
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