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接触ばっ気方式における循環流の重要性
松村 博志 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2016年7月号)
1.はじめに
2.接触ばっ気槽の構造
3.実現場での事例
4.おわりに

1.はじめに

  浄化槽の構造は、構造基準型(告示構造)と性能評価型の2つに大きく分類されます。性能評価型浄化槽については、各社技術の粋を結集し、コンパクトかつ高性能な処理方式の浄化槽の開発をしています。現在では、各浄化槽メーカーから、多種多様な処理方式の浄化槽が販売されています。今では販売される浄化槽の大半が構造基準型からコンパクトな性能評価型となり、構造基準型は古いタイプの浄化槽のように思われているのではないかと危惧しております。しかし、構造基準型も中規模以上の浄化槽で今も採用されています。さらに、これまでも多くの現場で採用され、現役で生活排水を処理しています。
  今回は、そんな構造基準型の浄化槽について、特に小型浄化槽から大型浄化槽まで幅広く採用されている接触ばっ気方式について、実際に現場にて経験した内容をご紹介致します。

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2.接触ばっ気槽の構造
 
  浄化槽に携わる方であれば、誰もがご存知だとは思いますが、接触ばっ気法における接触ばっ気槽について、簡単に構造の説明を致します。
  接触ばっ気槽には、接触材といわれる、生物が生息するためのろ材が充填されています。そして、生物の呼吸に必要な酸素(空気)を送るための散気装置が設置されています。

図-1 ばっ気撹拌方法と断面形状(浄化槽の構造基準・同解説2006年版より)

  図-1のように様々な接触材の設置方法がありますが、1)側面ばっ気、2)中心ばっ気が一般的ではないかと思います。
  告示構造(第6の構造)では、2室以上に区分し汚水が長時間接触材に接触する構造であることと示されています。また、接触材の充填率は水槽容量の55%以上とし、接触ばっ気槽の底部との距離を適切に保持して、槽内の循環流を妨げず、かつ槽内の水流が短絡しないように充填するよう記載されています。
  当然の事ですが、接触ばっ気槽の処理機能においては、接触材と汚水の接触がとても重要です。非常にシンプルな構造である接触ばっ気槽ですが、接触材と汚水の接触を行う循環流が正常に発生しないがために、その機能が十分に発揮されず、汚水の処理が不十分となる場合があります。
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3.実現場での事例

  循環流が正常に発生しない多くの要因としては、ばっ気風量の不足や、接触材の閉塞による短絡など維持管理上の問題が考えられます。しかし今回経験した事例は、維持管理上の問題ではなく、些細な構造上の問題でした。
  当該浄化槽は、現場施工型(コンクリート製)の側面ばっ気方式の浄化槽でした。汚水の処理が不十分で、客先より、原因の追究と水質改善を求められました。建物用途は工場であり、当初はし尿の割合が多いために起きる硝化不足に起因するものではないかと考えていました。
  現場で調査にて、槽内のDO値は非常に高い状況(4〜6mg/L、維持管理されている方もばっ気不足と捉えて風量を多くしていた)を確認しました。また、流入量は設計値の半分程度であり、特に水量負荷が多いという訳ではありませんでした。さらに当初疑っていた、し尿(窒素成分)の割合が多いことによる弊害についても、当該工場では厨房があり、排水のバランスは良い条件でした。
  一見して、問題が無いように思える現場でしたが、槽内の水質を検査したところ、接触ばっ気槽内のDO値が高い割には、処理水のアンモニア性窒素がかなりの割合で残存していました。
  通常、アンモニア性窒素は硝化されて硝酸・亜硝酸性窒素に変化します。その過程において、硝化細菌がDOを消費するため、DO値は下がる傾向があります。十分なDO値があればアンモニア性窒素が残存することは考えにくいのですが、当該現場では、矛盾が起きていました。
  DO値が高いが、アンモニア性窒素は残存する状況で考えられる事は、微生物(硝化細菌)がいない(成長を阻害されている)のではないかということでした。しかし、槽内の水位を少し下げて確認したところ、上部の接触材には生物膜がついており、微生物の成長を阻害するものが有るわけではないと判断しました。
  DO値もあり、微生物は存在する(生物量は不明)、しかしアンモニア性窒素は残存するとなると、後は、槽容積自体に問題があるのではないかと思い、水槽を空にして水槽の各主要寸法(接触材も含め)を測定しました。しかし、結果は計算書通りであり、さらに流入量は設計値の半分程度なので、容量が不足していることは考えられませんでした。
  ただ、この調査のときに2つほど通常とは異なる点があることに気付きました。それは、水槽を空にしたとき、底部に黒い汚泥(嫌気状態)が堆積していた点、もう一つは散気装置が接触材から離れた位置(壁寄り)にあった点です。(図-2参照)
図-2 接触ばっ気槽断面図

  接触材の上部では、付着している汚泥は黒い汚泥ではなく、薄茶色の汚泥でした。この底部の黒い汚泥が存在することは、底部が嫌気化している、すなわち循環流が十分に届いていない可能性があると思われました。循環流を発生させるのは、ばっ気による上昇流です。しかし、ばっ気状況を見る限りでは、吹き上がりも良好で、水面上の流れも有るように思われました。
  では一体何が原因で循環流が正常に機能していないのかという疑問が出てきました。そこで注目したのが、散気装置の位置でした。今回の場合には、接触材から離れた位置(壁寄り:図-2)に散気装置が設置されていました。散気装置は上昇流を発生させることが主目的です。しかし、もう一つ役割があることを忘れていました。それは、周辺の汚水を引き揚げるドラフト効果です。循環流とドラフト効果が組み合わさることで底部まで流速を保持する事ができ十分に効果を発揮できます。
  そこで、散気装置の位置を接触材側に移動(図-3)して、運転を再開しました。その結果約2週間ほどで、これまで硝化が進まなかった状況から一転して、硝化が進み、さらには処理水質も安定して本来の浄化槽の機能を発揮することが出来ました。
図-3 接触ばっ気槽断面図(改修後)
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4.おわりに

  今回は、散気装置の位置が循環流に影響を与えた事例を紹介しました。実際には散気装置の移動は200mm程度でした(接触ばっ気槽のばっ気部の幅は500mm〜600mmであり、その間での設置になります)。しかし、その200mm程度が浄化槽の性能に非常に影響を及ぼすことも今回改めて認識をしました。シンプルな構造であり、運転管理も行い易い接触ばっ気槽ですが、シンプルで有るがゆえに、各装置の構造配置が重要で有ることを再認識しつつ携わっていきたいと思います。
 
参考文献
  書籍:浄化槽の構造基準・同解説2006年版
(藤吉工業株式会社 開発課)
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