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浄化槽部品に適用されるFRP成形法の概要
友光 直樹 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2015年9月号)
1.背景(FRP生産量の推移)
2.浄化槽部品に適用される主なガラス基材
3.浄化槽部品に適用される主なFRP成形法
4.まとめ

1.背景(FRP生産量の推移)

  国内の繊維強化プラスチック(以下、FRP)製品は、浄化槽やユニットバスといった水周り商品を中心に生産量を延ばしてきたが、バブル崩壊後の景気の低迷から、1995年をピークに年々減少の傾向にある。平成25・26年度のFRPの用途別・成形法別の統計1)を表1に示す。平成26年度国内FRPの出荷量21万トンの中で、浄化槽の出荷量は約2.78万トンであり、全体の約13%を占めている。この浄化槽の出荷量は、単独の商品として高い比率を示しているが、住宅着工件数の減少や浄化槽部品製造拠点の海外進出に伴い、年々、減少の傾向にある。
  また、FRP成形法別の出荷量を見ると、高い生産性を有するSMC成形法を筆頭にハンドレアップ成形やスプレーアップ成形が高い比率を占める結果となった。このことは、浄化槽に適用されるFRP部品の製造についても同様の傾向にあり、小型から大型浄化槽の主要部品に対して、その生産規模と設備投資額のバランスを考慮してこれらの成形法が選定されている。
  本件においては、小型から大型浄化槽部品の製造に適用される主なFRP成形法について、その概要や特徴を記述する。
表1 FRP用途別・成形法別の統計

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2.浄化槽部品に適用される主なガラス基材

  多くの浄化槽メーカーが浄化槽の本体や構造部材にFRP材料を採用しているが、その大きな理由の1つとして、「ガラス繊維で強化されたFRPは、一般的な熱可塑性プラスチックに比べて、数倍の強度・剛性を有する」ことが挙げられる。この強化材として使用されるガラス繊維の形態は、部品の仕様や適用する成形法に応じて異なるが、主なガラス基材を以下に示す。

2.1 ロービング

  ガラス繊維(通常は直径10μm以上)を糸状に複数本束ねた連続繊維の形態を有するガラス基材(図1)で、使用目的に応じて繊維系、繊維数、表面処理剤等を変えた数多くの品種を有する。シンプルな工程で製造が可能なことから、最も安価なガラス基材といえる。このため、多くの浄化槽部品の各種成形法に使用されている。

図1 ガラス基材
上:ロービング 右下:ロービングクロス
左下:チョップドストランドマット

2.2 チョップドストランドマット

  束ねたガラス繊維を一定の長さ(通常は50mm)にカットし、ランダムに配向させてスチレン溶解性のバインダーでシート状に加工されたもの(図1)である。このマット材は、ガラス量を調整して厚さを変えた数種類のものがある。主にハンドレイアップ成形(後段で記述)に使用されるのが一般的で、多くの浄化槽部品の強化材として使用されている。

2.3 ロービングクロス

  ロービングを縦横に配置した織物形態のガラス基材(図1)である。ロービングクロスも主にハンドレイアップ成形に使用されるが、チョップドストランドマットに比べ、長繊維の形態であること、高い繊維含有量が設定できることから、強度・剛性の高い製品の製造が可能となる。但し、ロービングやマットに比べて価格が若干高いことから、適用される浄化槽部品はチョップドストランドマットと比較して少ない傾向にある。

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3.浄化槽部品に適用される主なFRP成形法

  汎用の熱可塑性プラスチック(ポリプロピレン、ABS等)は、一般的に射出成形機のような高額な製造設備が必要になるのに対し、FRPは部品形状や生産量に応じて、その製品に適した成形法を選定できるといったメリットを有する。(量産が必要なFRP製品については、熱可塑性プラスチックと同様に高額な専用の設備が必要となる)FRP成形法の中で、浄化槽部品の製造に適用が可能な主な成形法を、以下の通り記述する。

3.1 ハンドレイアップ成形法

@ 概要
    この成形法は、FRPの基本となる成形であり、シート系ガラス基材(チョップドストランドマット、ロービングクロスなど)と液状の熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂など、以下、樹脂)を成形型にチャージし、専用の脱法ローラーで気泡を除去した後、常温または炉の中で硬化させてFRP製品を得る手法(図2)である。
A 設備及び型
    この成形法は、高額な設備投資は不要であるといったメリットを有する。成形型についても、一般的には樹脂型を使用することから、金型のような高額な投資も必要なく、FRP部品の製造が可能となる。但し、作業者が1つ1つの製品を手作業で成形するため、一般的には製造原価の中で加工費の占める割合が高くなる傾向にある。
B 生産規模
    設備投資が低減できることから、主に中型から大型の比較的生産量の少ない部品に適用されるケースが多い。また、開発中の試験槽や部品を評価する際の試作に、この成形法が適用される。


図2 ハンドレイアップ成形(型と製品)

3.2 スプレーアップ成形法

@ 概要
    この成形法は、ガラス繊維と樹脂のチャージ工程を専用のスプレー装置で行うため、ハンドレイアップ成形法の一部を機械化した成形法(図3)と言える(脱泡作業は、ハンドレイアップ成形と同様に作業者が行う)。工程としては、ロービングを回転式のカッターで長さ数十ミリの長さにカットし、液状の樹脂と一緒に成形型に吹き付け、脱法・硬化後に成形品を得る手法である。
A 設備・型
    主な設備としては、ガラス繊維と樹脂を型に吹き付けるための、スプレー装置が必要になるが、生産量に応じて、作業者が吹き付け作業を行うものと、吹き付けパターンを入力して自動運転で成形するものがある。成形に使用する型については、ハンドレイアップと同様に安価な樹脂型が用いられる。
B 生産規模
    一般的には少量から中量の中型・大型浄化槽部品へ適用される。ハンドレイアップに比べて成形サイクルの短縮が可能であることから、中量生産に適用されるが、生産量に応じて樹脂型を増面(複数の型を起こす)して使用される。

図3 スプレーアップ成形

3.3 MMD(SMC)成形法

@ 概要
    MMD(マッチドメタルダイ)成形法とは、金型内に成形材料をセットし、加圧・加熱によりFRP成形品を得る手法である。この成形法で、成形材料にSMC(シートモールディングコンパウンド)材料を使用した成形法について記載する。主な工程は、予め別工程で製作されたSMC用シート基材を金型内にチャージし、専用のプレス機で加圧後、数分の硬化時間を経て型を開き製品を得る手法(図4)である。この成形に使用するSMCシートは、数十ミリにカットされたガラス繊維、樹脂、硬化剤、充填剤、内部離型剤等を予めシート状に加工したものを使用するが、成形サイクルを向上させるためにシート製作後、予め樹脂を半硬化の状態に熟成させて使用する。
  このSMC成形法のメリットとしては、上下で一対の金型を使用するため、リブ形状やボス形状を配置した製品設計が可能であることが挙げられる。(SMC成形法以外では、ほとんどのFRP成形法が不可能)また、デメリットとしては、半硬化の樹脂をプレス時の加圧力で流動させるため、製品形状に応じたガラス繊維の配向性が出やすい。このため、強度ムラが発生する可能性が高く、このことを設計の際には考慮する必要がある。
A 設備・型
    この成形法は、高出力のプレス、金型、シート材を製造する専用の設備が必要になることから、高額な設備投資が必要になる。
B 生産規模
    FRP成形法の中でも、量産に適した成形法の1つといえる。実際の製造現場においては、数分のサイクルで成形が可能であることから、小型浄化槽の本体や仕切板の製造に適用される。

図4 MMD(SMC)成形


3.4 MMD(プリフォーム)成形法

@ 概要
    MMD成形法の成形材料として、プリフォームを使用した成形法について記載する。主な工程は、プリフォーム(ガラス繊維を予め製品形状に予備成形した基材)と呼ばれるガラス基材を金型にチャージし、液状の樹脂を投入した後、専用のプレス機で加圧・加熱し、数分の硬化時間を経て型を開き製品を得る手法となる。 
  MMD(プリフォーム)成形法のメリットとしては、MMD(SMC)成形法が半硬化の樹脂を使用するのに対して、MMD(プリフォーム)成形法は液状の樹脂を使用するため、比較的低圧力で成形できるといったメリットが挙げられる。また、デメリットとしては、プリフォームを作製する際の、ガラス繊維の吹き付けムラにより、強度バラツキが発生しやすいことが挙げられる。(作業者の技能に品質が左右され易い)但し、プリフォームの製造に専用のスプレー装置を使用することで、改善を図ることが可能となる。
A 設備・型
    この成形法もSMCと同様に、専用のプレスや金型が必要になる。また、プリフォームを製造する設備も、材料の吹き付け設備や乾燥機を有するもので、高額な設備投資が必要になる。
B 生産規模
    SMCと同様に高反応性の樹脂を使用することで、数分のサイクルで成形が可能になることから、小型浄化槽の本体や仕切板の製造に適用され、量産に最も適した成形法の1つといえる。

3.5 引抜成形法


@ 概要
    この成形法は、アングルやチャンネルなどの同一断面形状の製品を連続的に製造する手法である。主な工程は、ロービングやマット等の強化材を液状の樹脂を溜めた容器に浸した後、製品断面形状を有する金型に投入し、型内で硬化させた製品を引抜装置でけん引し、製品を連続的に製造する手法である。この成形により得られた製品は、ロービングなどの連続繊維を高い含有量で製作できるため、他の成形法で製造されるFRPに比べ高強度・高剛性の製品が製造可能となる。
A 設備・型
    この成形法は、FRP引抜品を製造する専用の引抜装置や、製品断面ごとに専用の金型が必要になることから、高額な設備投資が必要になる。このため、引抜専門のFRPメーカーへ生産委託されるケースがほとんどである。
B 生産規模
    この成形法も、連続的にFRP型材を生産できること、生産数量に応じて複数本の製造ができることから、量産に適した成形法の1つといえる。適用される浄化槽部品としては、本体や仕切板の補強部材や部品取り付け用の受け材などに使用される。

3.6 フィラメントワインディング法

@ 概要
    この成形法は、円筒パイプを製造するための成形法である。主な工程は、引抜成形と同様にロービング等の強化材を液状の樹脂を溜めた容器に浸した後、マンドレルと呼ばれる円筒形状の金型に巻き付け、炉内で硬化させて製品を得る成形法である。この成形法で製作されたパイプ材は、ガラス繊維の配向角度を制御することで、軸方向・周方向の強度を自由に設計できるといったメリットを有する他、多様な形態のガラス基材を自由に選定できるといったメリットを有する。
A 設備・型
    この成形法も、専用の巻き取り機、マンドレル金型、硬化炉、製品をマンドレルから外す脱芯機等、高額な設備費用が必要になる。
B 生産規模
    この生産方法については、最大で10m程度の長さのパイプを個々に製造する手法になるため、少量から中量生産に適した成形法といえる。また、大型の設備や型を導入することで大口径のFRPパイプの製造が可能になることから、大型浄化槽本体(直径2m等)の製造に適用されている。
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4.まとめ

  浄化槽メーカーは、適用する製品の形態、生産量に応じて、適切な成形法を適用し、FRP製品の製造を行っている。これまで解説したFRPの成形法は、既に技術面ではほぼ確立されていることから、従来の手法に改善・改良を加え、より効率的で安定的な製品の製造が行われていると推測する。今後、新たな成形材料や成形法が開発され、品質やコスト面で付加価値の高い浄化槽部品が提供可能になることを期待したい。
 
参考文献
1) 一般社団法人 強化プラスチック協会
  HP 市場動向報告
 
(ニッコー(株) 技術開発部)
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