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水の循環と浄化槽
足立 清和 (一社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2015年7月号)
1.はじめに
2.水の用途と関連法令
3.水循環の収支
4.水循環における浄化槽の役割
5.おわりに

1.はじめに

  少し早いですが毎年8月1日は「水の日」です。そして、昨年7月1日に「水循環基本法」が施行されたこともあり、ますます水に対する関心が高まるものと考えます。水は生命の源であり、自然現象として絶えず地球上を循環し、人を含む多様な生態系に多大な恩恵を与えています。しかし、何時でも蛇口から安全な水を得ることができる環境にあると、水の大切さを忘れがちになります。 
  今回、水の日を迎えるにあたり、水の循環について考えてみました。海水が蒸発して雲となり、地表に雨が降り川を流れ海に戻る。大自然の水循環の中で我々がどのように水を利用しているのか、知っているようで知らない面もあり、広い範囲の水循環についてまとめました。水循環基本法の理念にある「健全な水循環」はどのようにあるべきか、皆様方それぞれに考えていただく機会になればと思います。

図-1 健全な水循環の構築(国土交通省より)

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2.水の用途と関連法令

  国土交通省のサイトから健全な水循環系の構築の概略図として図-1を示します。自然の水循環系の中で、最も身近な生活用水(水道)以外にも工業用水、農業用水、発電用水があります。他にも防火用水や融雪用水などがあり、あらゆる所で水を利用していることに気づくはずです。飲用以外にも、洗浄用、冷却用、蒸気機関による火力発電用、水力発電用、輸送用、物質の溶媒として、噴水などの景観用など、我々はあらゆるところで多くの水を利用しています。
  生活用水や工業用水は汚れを流す用途が多いため、使用後の排水を適正に処理して公共用水域へ放流し水環境の保全に努めなければならないことが、水質汚濁防止法や下水道法、浄化槽法などに示されています。また他にも、災害防止や都市計画、環境保全などの観点からも、河川法や都市計画法など水環境に関する法令は多くあり、それぞれに、人間社会の営みに果たす水の機能と、環境保全に果たす水の機能について考えられています。そして水循環基本法は、それらを一連の水の流れの過程において「健全な水循環系」を維持し、又は回復するための施策を包括的に推進するために成立しました。
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3.水循環の収支

  ところで、人類の水資源はどのくらいあるのでしょうか。文献では、地球上の水の約97.2%が海にあり、2%が氷河、地下水が0.68%、湖沼が0.01%、土壌が0.005%、大気中が0.001%、河川に0.0001%、生物圏に0.00004%と推計されています。水の惑星といわれる地球ですが、地表に存在する水の割合は非常に小さく、我々が利用できる水資源には限りがあります。
  国土交通省のサイトから日本の水の収支について図-2に示します。これで日本の水の利用状況が大まかにイメージできます。図-2から主な水の使用量について表-1にまとめました。生活用水は、住宅や飲食店、事務所、公衆トイレ、噴水などで使用する水の量で、生活が豊かになるとともに水量は増えました。工業用水は回収水を除く取水量となっており、図-2の回収率79%を考慮し回収水を含めると638億m3/年の必要水量となります。水の有効利用と排出規制に対応する必要から、回収率は工業の発展とともに向上し、取水量は減少傾向にあります。農業用水は、灌漑用水や畜産用水を表し、ほとんどが水田灌漑用水です。図-3に各水使用量の推移を示しました。
  我々が使用する水の量を把握したところで、次に水資源はどれだけあるかを考えると、図-2に平均水資源賦存量(理論的に利用できる水資源量、降水総量から蒸発散量を引いた量)は、4,200億m3/年とされています。水の使用量の合計941億m3/年に対して4.5倍であり、十分余裕がある数値に見えます。しかし、平均水資源賦存量は、降水量(mm)に国土の面積を乗じて求めた数値であり、理論的には利用可能であっても全てを利用できるわけではありません。また、5年に1度あると言われる渇水年には水資源賦存量は2,800億m3/年となり使用量の3倍に減少します。更に、この推計は全国平均であり、人口集中や地理的傾向または季節変動を考えると、決して十分余裕があるといえないと思います。実際に、水道の使用量が増える夏季になると取水制限や断水が起きることも理解できます。日本は降水量が多い気候ですが、1人当たりの水資源量は少ないと言われています。特に関東はエジプトと同等の水資源量とのデータもあります。
  そこで、図-1にあるように、雑用水に使用した排水を再生処理してトイレの排水として使用することや、浄水場に関連して取排水地点を再編することなど、健全な水循環系の構築のための課題が示されています。また、水資源の確保以外にも、環境保全やゲリラ豪雨による冠水防止などの課題もあります。

(注) 1. 年平均降水総量、蒸発散量、水資源賦存量は昭和46年〜平成12年のデータをもとに国土交通省水資源部が算出。
2. 生活用水、工業用水で使用された水は平成12年の値、公益事業で使用された水は平成9年の値で、国土交通省水資源部調べ。
3. 農業用水における河川水は平成12年の値で、国土交通省水資源調べ。地下水は農林水産省「第4回農業用地下水利用実態調査」(平成7年10月〜8年9月調査)による。
4. 養魚用水、消・流雪用水は平成12年度の値で、国土交通省水資源部調べ。
5. 建築物用等は環境省「全国地盤沈下地域の概況」によるもので、地方公共団体(29都道府県)で、条例等による届出等により把握されている地下水利用量を合計したものである。
6. 排水処理施設は、下水道、集落排水、合併処理浄化槽を含む。以下同じ、数値については下水道における処理量、平成12年度の値で国土交通省調べ。
7. 火力発電所等には、原子力発電所、ガス供給事業所、熱供給事業所を含む。
8. 四捨五入の関係で集計が合わないことがある。
図-2 日本の水収支(国土交通省より)


表-1 水の使用量


(注) 1. 国土交通省水資源部作成
2. 国土交通省水資源部の推計による取水量ベースの値であり、使用後再び河川などへ還元される水量も含む。
3. 工業用水は従業員4人以上の事業所を対象とし、淡水補給量である。ただし、公益事業において使用された水は含まない。
4. 農業用水については、1981〜1982年値は1980年の推計量を、1984〜1988年値は1983年の推計量を、1990〜1993年値は1989年の推計値を用いている。
5. 四捨五入の関係で合計が合わない場合がある。
図-3 日本の水使用量の推移(国土交通省より)
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4.水循環における浄化槽の役割

  水循環における浄化槽は、図-2の排水処理施設(下水道、集落排水、浄化槽)に位置づけられます。図中の130億m3/年は、下水道の処理量で示されています。汚水処理人口普及率が、下水道77%、浄化槽8.9%であることを考慮すると浄化槽の処理量は15億m3/年と試算されます。
  浄化槽は、汚水の発生位置で適切に処理した処理水を公共水域に放流するため、河川などの枯渇を招かず自然環境に与える影響が少ない施設です。また、建築物と同時に設置ができるため、地域の発展に合わせて整備することが容易なシステムです。将来的には、健全な水循環を構築するため、特に水源となる地域や生態系の保全が求められる地域では、更なる高度処理を可能とし、自然の生態系に影響を与える物質が少ない浄化槽が求められる可能性もあると考えます。
  一般的に、浄化槽は個人が設置する設備ですが、水循環系の中の重要なインフラ設備です。健全な水循環系を構築するために適切な整備と維持をしていかなければなりません。一方で、単独浄化槽(みなし浄化槽)の存在も忘れてはいけません。高度成長期といわれる1970年代から多く設置されたものが、現在も約450万基残っています。健全な水循環を構築するためにも、単独浄化槽を浄化槽に転換する方策が必要と考えます。同じように、下水道では高度成長期に整備した管路などの施設が老朽化し、更新・改修工事を進めなければならない課題があります。また、将来的な人口減少や財政の健全化を考慮し、地域によっては、下水道計画を見直し浄化槽整備で進める考え方も提案されています。
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5.おわりに

  水循環基本法は、水の循環に関する基本理念や政策のあり方を定めたもので、議員立法で成立しました。内閣官房水循環政策本部では、水循環に関する関係行政機関が実施する施策を集中的かつ総合的に推進するよう調整されます。また、水循環基本法における水循環基本計画の原案に対し、広く国民や有識者から意見を募集し、とりまとめが行われているようです。雨水利用や処理水の再生利用など様々な方策が考えられます。流域毎の水循環系で整理しても様々な利害関係や地理的違いがあると思います。行政機関の縦割りも上手く調整され、将来に向けた「健全な水循環系の構築」が積極的に推進されることが望まれます。
 
(アムズ(株) 技術推進部)
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