HOME コンプライアンス サイトマップ
プロフィール 入会案内 会員専用ページ
浄化槽とは 浄化槽普及促進ハンドブック(平成27年度版) 行政関連 広報データ リンク集
HOME > 浄化槽とは > 技術データ > JSAだより >  小規模事業場排水の設計時における注意点にてついて
しくみ
浄化槽のしくみ
最近の浄化槽の技術動向
技術データ
Q&A
JSAだより
特 集
講 座
報 告
過去掲載目次一覧
小規模事業場排水の設計時における注意点にてついて
松田 さおり (社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2014年3月号)
1.はじめに
2.排出水に対する放流規制について
3.設計時における注意点について
4.試運転調整、立ち上げ運転について
5.おわりに

1.はじめに

  小規模事業場排水には様々な排水の種類がありますが、排水処理槽を最適なものとするには、性能を十分に発揮させることだけでなく、イニシャルコスト、ランニングコスト等も含めた設計を行う必要があり  そのためには事前の十分な調査がとても重要になります。
  設計前に必要な情報収集をするための留意点について、弊社が実際設計する際の注意点、手順等を参考に紹介致します。

ページトップへ
2.排出水に対する放流規制について
   
  水質汚濁防止法では、特定施設を有する事業場から排出される水について、排水基準以下で排水することが義務付けられています。
  排水基準により規定される物質は大きく2つに分類されています。ひとつは「人の健康にかかわる被害を生ずる恐れのある物質を含む排水に関わる項目」(以下有害物質)、もうひとつは「生活環境の汚染状態を示す項目」(以下生活環境項目)となります。健康項目については28項目の基準が設定されており有害物質を排出するすべての特定事業場に基準が適用されます。生活環境項目については、15項目の基準が設定されており、1日の平均的な排水量が50m3/日以上の特定事業場に基準が適用されます。
表-1 排水基準について

表-2 一律排水基準(生活環境項目)

  また、水質汚濁防止法の一部を改正する法律が平成23年6月14日に成立、平成23年6月22日に公布され、平成24年6月1日に施行されました。
  同法により、有害物質による地下水の汚染を未然に防止するため、有害物質を使用・貯蔵等する施設の設置者に対し、地下浸透防止のための構造、設備及び使用の方法に関する基準の遵守、定期点検及びその結果の記録・保存を義務付ける規定等が新たに設けられています。
ページトップへ

3.設計時における注意点について

@ 流入条件の把握
    総合排水のように浄化槽にて処理を検討する場合、算定基準のみでなく、実際計画されている流入水量、負荷量(不明の場合は類似施設等の負荷状況)を把握し、実際の負荷に合わせた適切な機種選定、前施設の導入を検討することが必要です。
   
A 水量設定
    排水量について浄化槽では1日の平均的な汚水量である日平均汚水量を用いますが、小規模事業場排水では変動が大きい場合も多いため、特に最大値を考慮する必要があります。
  計画段階のヒアリング等で、季節変動、将来の増設計画等について調査します。
   
B 流入水温
    一般的な排水処理槽内温度は、13℃から40℃程度としていますが、流入水温が45℃以上になる場合、FRP本体、ポンプ等に不具合、破損が生じるため流入温度に応じた、材質・機種の選定、緩衝槽・クーリングタワーの設置等が必要になります。
  逆に解凍排水等が流入し水温が低くなる場合は、ヒーター等の加温対策の検討も必要です。
   
C 流入原水に微生物阻害物質の有無
    原水中に有害重金属、高濃度の塩素イオンが流入する場合、微生物阻害の原因となる場合があるので注意が必要です。特に海水等、塩素イオン濃度が高い場合は、腐食が問題となりますので、耐塩仕様の材質、機種を選定する必要があります。
   
D 流入負荷量
    一般的に流入負荷量は、原水水量と流入BOD濃度によって決まりますが、でんぷん系排水や畜産排水等ではSS由来のBOD等が問題となる場合があります。業種にもよりますが、処理槽中に滞留する高濃度のSS、油分等が分解、溶出することにより、計画した流入BOD濃度よりも、高負荷になってしまう場合もありますので注意が必要です。
  このSS、油分等の分解、溶出等による負荷増加分は、CODcr、BOD20(一般的にBODは5日間測定したものですが、20日測定したもの)を測定することにより、ある程度の予測が可能となりますので事前に測定し、前処理施設、反応槽容量、必要空気量の設定等において最適設計を図ります。
   
E 栄養バランスの確認
    微生物処理にはBOD、窒素、リンの栄養バランスが不可欠になります。でんぷんが主体となる排水等では窒素、リンが不足しますので、栄養剤を添加する対策等が必要です。
   
F 臭気対策
    食品系排水等で処理するまでに原水が腐敗する恐れのある場合、臭突管は必ず配管し、必要に応じて排気ファン、脱臭装置の検討を行います。
  また、排水処理槽、脱臭装置、排気ファンの排出先の設置場所により、臭気が問題となる場合もありますので、設置場所、高さ、風向き、臭気の滞留等がないかについても考慮が必要です。
   
G ランニングコスト
    一般的に生物処理にて発生した余剰汚泥は産業廃棄物として処理しますが、規模が大きい場合その処分費用はとても高価なものになるため、汚泥脱水装置、汚泥濃縮装置等の導入によるイニシャルコストとランニングコストの比較が必要です。
   
H 処理槽の設置場所
    設置スペースをコンパクトにするためにはいろいろな方法がありますが、角型槽(図-1)や縦置槽 (図-2)による省スペース化を図ることも可能です。
  地上設置方式の場合、維持管理を開口付近で行う必要があるため、安全に作業できるよう十分なスペースを確保します。スクリーン等しさ搬出が必要な場合は、シューター等を用いて安全性、作業性を確保します。
  また設置場所によっては、槽内水温が低くなり処理性能が確保しにくくなりますので、保温・加温対策も考慮します。

図-1 .設置事例1

図-2. 設置事例2

ページトップへ
4.試運転調整、立ち上げ運転について

  一般的に工事完了後、清水運転、実負荷運転を行い、各機器が所定の機能を満足することを確認後、引き渡し完了とします。(図-3)(実負荷運転までに期間がある場合は、清水運転の確認を持って引き渡しとする場合もあります。)

図-3 工事完了から引き渡しまでの流れ(例)

  立ち上げ期間中は、微生物が十分に機能していないので、発泡、臭気が発生することが予想されるため、お施主様への事前の説明が必要となります。種汚泥の投入、段階的な流入負荷運転により早期の立上げも可能になりますが、そのためには種汚泥、薬剤、栄養剤の手配、立ち上げ運転中の作業員の確保、工場立ち上げ時の原水流入方法や放流先への説明等、お施主様のご協力が不可欠ですので、事前打ち合わせ、手配が必要です。
  また、引渡し完了を持って設備の保守管理はお客様で行って頂くこととするため、引き渡しまでの立ち上げ運転計画を作成し、お施主様にて引き渡しまたは実負荷運転までに維持管理業者(または作業者)の選定をお願いする必要があります。
ページトップへ
5.おわりに

  注意点についてごく一部を記載いたしましたが、実際の排水、設置場所、環境等、状況により可能な対策、必要な対策も様々です。
  また、引き渡し完了後も現場のニーズに応じたサポートが行えるような体制を整える必要もあります。今回示しました事項以外の設計留意点も多々ありますので、排水処理槽計画の参考になればと思います。
(大栄産業株式会社 企画開発部)
ページトップへ
前ページへ戻る
| 浄化槽とは | 浄化槽普及促進ハンドブック(平成27年度版) | 行政関連 | 広報データ |
| プロフィール | 会員専用ページ | リンク集 | コンプライアンス | サイトマップ | HOME |
一般社団法人 浄化槽システム協会
〒105-0012 東京都港区芝大門1-1-32 芝大門ビル5階 TEL:03-5777-3611 FAX:03-5777-3613