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浄化槽を住宅の基礎に近接して設置する場合の工事について
古市 昌浩 (社)浄化槽システム協会講師団 (月刊浄化槽 2011年 5月号)
1.はじめに
2.ハンドブックの見直し内容
3.住宅の基礎に近接して設置した場合の水平土圧・水圧による試算例
4.まとめ
1.はじめに

  浄化槽を住宅の基礎に近接して設置する場合など、通常の土圧以外に側面からの荷重を受ける際の施工方法については、社団法人浄化槽システム協会(以下、協会という。)発行の平成21年度版浄化槽普及促進ハンドブック1)(以下、ハンドブックという。)において、「7.浄化槽の施工」の中に特殊工事として記載されています。
  一部の浄化槽施工業者の方から、ハンドブックでは浄化槽を住宅に近接して設置する場合に基礎部分から45°の範囲から離すか、それ以内に設置する場合は、よう壁を設けることとなっているが、浄化槽設置状況をみると、住宅の基礎に近接して浄化槽を設置している例は多く見られる。しかしながら、基礎の真下に設置するなどの一部の工事不良を除いて、それにより浄化槽が破損した事例は確認されていないとの情報が寄せられました。
  そこで協会は、このような情報を踏まえ、協会の技術委員会にて検討した結果、一部表記の見直しを行いました。
  以下、見直し内容等について紹介します。
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2.ハンドブックの見直し内容
 
  見直しに関する協会の主旨は次のとおりです。
(1) 建築物の基礎や土質等、施工条件によって浄化槽にかかる荷重は異なるが、安全な施工方法として「建築物の基礎の終点から離して設置する」「離して設置できない場合はよう壁を設ける」等の考え方は従前通りとする。
(2) 個別の案件で十分に安全と判断できる場合には、よう壁を設ける必要がないことが想定されるため、表記を見直し本施工内容については参考としての位置づけにする。
ハンドブックの見直し内容を、見直し前と比較して図1に示します。

図1 「浄化槽側面の荷重」見直し内容

以下、見直しした事項について補足します。
【見直し事項1】
建築物、道路際およびがけ下等は、非常に大きな土圧が浄化槽にかかる恐れがあるので、事前に十分調査を行い、下記を参考に施工する。
補足
@ 建築物の基礎を定めるにあたっては、事前に 地盤調査を行い、許容応力度を確かめる必要がある(建設省告示第1347号)。また、住宅の基礎に近接して浄化槽を設置する場合は、浄化槽のみならず住宅側に被害が及ぶことも想定されるため、事前調査について加筆した。
A 本項に掲載されている事例については、個別 の案件を考慮し「参考」の位置づけとした。

【見直し事項2】
建築物等の荷重によって浄化槽の破損等を招かないよう、離して設置する。
補足
@ 浄化槽は建築設備であり、建築物として安全に施工されなければならない。例えば住宅に近接して設置した場合、掘削した地盤が非常に堅牢で、浄化槽設置後に変形がないならば、浄化槽には埋め戻した土圧がかかるのみ(上部スラブなど積載荷重はかかる)で、住宅の荷重は無視できる。現状、住宅に近接して設置された浄化槽でよう壁がなくても破損を招かないケースは、これが大きな理由と考えられる。しかし、建築基準法の関連規定では地盤の変形に対し建築物が安全であることが求められており、通常、住宅等の荷重について考慮し必要に応じ対策を施すことが求められる。
A 地中の力の伝わり方については、土質の影響などで正確な解析が難しい場合が多いが、住宅の基礎からの荷重が及ぶ範囲については建築基礎構造設計指針2)に示されているものが一般に多く用いられている。

図2は模式的に描いたもので、水平面とおおむね「45°+φ/2」の範囲に荷重が及び、φの値(内部摩擦角)は表1のように土質によって異なるとされている。

図2 住宅の荷重が及ぶ範囲

表1 土質と内部摩擦角φ

  したがって、荷重が及ぶ範囲は土質によるが水平面とは45〜62.5°すなわち垂直面とは27.5〜45°であることがわかる。浄化槽の埋め戻しには砂が使われており、きれいな砂の場合、内部摩擦角は35°で荷重が及ぶ範囲は垂直面に対して27.5°となるが、埋め戻し部分以外の土質が不明であることから、安全を見て45°としている。

【見直し事項3】
設置場所が狭く、建築物等の荷重によって浄化槽の破損等を招く恐れがある場合は必要に応じ、よう壁を設ける
補足
@ 住宅の基礎からの荷重が及ぶ場合は、原則としてよう壁を設ける必要がある。また、よう壁は構造計算を十分に行って施工する必要がある。
A 個別の案件を考慮し「浄化槽の破損等を招く恐れ」、「必要に応じ」の表現とした。
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3.住宅の基礎に近接して設置した場合の水平土圧・水圧による試算例
 
  参考として、浄化槽を住宅に近接して設置する場合のよう壁の要否や荷重について検討した試算例を紹介します。

3.1 試算例1

【試算条件】
(1) 浄化槽:家庭槽支柱レスタイプ(自動車積載荷重に耐えうるもの)。
(2) 設置条件:住宅の荷重が及ぶ範囲内で自動車荷重なし。
(3) 住宅の基礎からの荷重:下記@、Aより抽出し、布基礎で30kN/m2、べた基礎で11kN/m2として試算。
(4) 浄化槽の埋設深さ:1.55m(嵩上げ時 1.85m)。
(5) 自動車荷重3):5.4kN/m2


【試算方法】
(1) 基礎の違い(くい基礎、布基礎、べた基礎)や嵩上げの有無、地下水位の高さをファクターとし、それぞれの設置条件による水平土圧・水圧の最大値を算出する。算出方法は浄化槽の構造基準・同解説による。
(2) よう壁の要否の基準:支柱レスタイプの通常の施工で最大荷重となる条件は計算上、
@自動車荷重あり
A嵩上げ0.3m(埋設深さ1.85mとする)
B地下水あり(地下水位は最大GL-0.3mとする)
の場合になる。ここでは、上記(1)で算出された値(自動車荷重なし)が、@〜Bで算出された値より小さい場合、よう壁不要とする。

【試算結果】
  試算一覧を以下に示す。くい基礎ではよう壁不要、布基礎ではよう壁要、べた基礎では地下水位の高さによって要否が分かれる結果となった。


3.2 試算例2

  試算例1で住宅の基礎からの荷重および土圧・水圧に対し、よう壁の要否を検討したが、実際には住宅の基礎からの荷重は地中で拡散し、基礎から離れた場所では値が減少する。試算例1ではこの考え方は盛り込まれておらず、そういう点からは安全側の試算といえる。
  地盤からの荷重が地中の任意の点に与える影響を検証する場合、ブーシネスクの理論を応用した手法がよく用いられる。例えば下図のような、べた基礎の場合C点直下2mの鉛直荷重(土圧・水圧を除く)は次の例のように計算される。なお、住宅による等分布荷重は11kN/m2とする。

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4.まとめ
 
  今般、浄化槽施工業者の方からの情報を基に、ハンドブックに掲載している浄化槽の施工に関し、一部表記の見直しが行われました。
  3項で紹介した試算は模式的な事例を机上で行ったに過ぎず、実際の現場は複雑な要素を多く含みます。したがって、十分な事前調査とより詳細な検討を行うことは当然ですが、浄化槽を設置する場合には建築物として、常に安全側のスタンスが求められる点に留意し、適正な施工を図る必要があります。
 
参考文献
1)社団法人浄化槽システム協会:平成21年度版浄化槽普及促進ハンドブック(2009)
2)社団法人日本建築学会:建築基礎構造設計指針(2001)
3)財団法人日本建築センター:浄化槽の構造基準・同解説(2006)
4)住宅瑕疵担保責任保険法人財団法人住宅保証機構:まもりすまい保険設計施工基準・同
 解説(2009)
5)山口大学ホームページ
(株式会社ハウステック エネルギー・環境事業部)
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